事務スタッフのレベルUPに効果的な“資格取得”の促進って?

クリニックの経営者である開業医の先生方にとって、クリニックで共に働くスタッフのスキルUPや、仕事へのやりがいを感じてもらえる環境づくりというのは大変重要なミッションの一つです。

今回は、「事務スタッフのレベルUPに効果的な“資格取得”の促進って?」と題しまして、事務スタッフが資格取得をする際のクリニックの費用補助の仕組みや運用上の注意点等について解説してまいります。

◆クリニックの事務スタッフのモチベーションUPには○○を!

クリニックの事務スタッフが中々定着せず数年で退職してしまうというケースは珍しくありません。
クリニックで働く事務スタッフのモチベーションアップには、昇給やボーナス、福利厚生といった待遇面での評価だけでなく、やりがい作りも大変重要です。
また、仕事にやりがいを感じてもらうことは、モチベーションアップだけでなくスタッフの定着にもつながります。
今回は、やりがいを感じてもらうための手段の一つとして「資格取得」について見ていきましょう。

看護職を対象とした外部研修は多数用意されており、それらの研修への参加を推奨しているクリニックも珍しくありませんが、事務スタッフに関しては、そもそも外部研修の機会が少ないため、看護職と同様にはいきません。
そのため事務スタッフに対しては外部研修の代わりに在宅でも学べる資格取得を促すことをおすすめします。

事務スタッフが関わる業務で特にスキルUPを期待したいのは、「医療事務」「レセプト業務」「医療クラーク」に集約されます。
それぞれに認定機関が資格を設定していますが、やはり、やりがいを感じてもらうためには、ある程度ハードルが高く業務に直結する資格がよいでしょう。
面白い例では、都内好感度立地の比較的外国人来院者が多いクリニックで、外部の講師を招いた簡単な英会話教室を開催しているケースもあります。業務能力にとどまらない、プラスαのやりがいにつながっているようです。

また、業務に関わる資格ですので、クリニックでは以下のような仕組みづくりや運用を行うとスタッフの資格取得への意欲も高まるでしょう。
①合格祝い金を出す
②資格取得のための費用(一部or全額)を補助する

一方で次のようなトラブルにも注意が必要です。

◆資格取得費用に関するトラブル

資格取得をめぐるトラブルの中でよく耳にするのは、費用返還に関するトラブルです。
クリニックがスタッフへの資格取得を促したものの、資格取得後にすぐに退職してしまうケースです。
結果、資格取得のための費用を負担したクリニック側は納得がいかず、費用返還を求めて争いに発展してしまいます。
こういったトラブルを防ぐために「資格取得後●年以内に退職した場合は、クリニック側が負担した資格取得の為の費用を全額返金する」といった内容の誓約を結んでおきたいところではありますが、そういった方法は労働基準法第16条に違反してしまうため注意が必要です。

まずは費用負担に関して、対象者・費用補助の範囲などについて明確に取り決めておくことが重要です。
例えば、対象は試用期間が終了した正社員であること、費用補助の範囲は上限●万円まで、資格取得のために通う専門学校等への交通費は自己負担とする…などです。
また、受験が必要な資格であれば、●年間●回目までの受験に限り補助を適用するといった、期間・回数の制限も考えなくてはなりません。

◆事務スタッフの資格取得を促進するための3つのポイント

ポイント①:どのような資格取得を目指してもらうのかを明確に
医療事務関連の資格にはさまざまなものがあります。
まずはある程度ハードルが高く、業務に直結するような資格取得を推奨していきましょう。

ポイント②:費用補助の範囲についてしっかり決めておく
対象者・補助の範囲・金額の上限などについて事前にしっかりと定めておきましょう

ポイント③:受験が必要な資格の場合は期間や回数を決めておく
資格取得を表明してから「●年間●回の受験までが対象」というように対象期間や回数についても明確にしておきましょう。
また、受験当日を勤務扱いにするのかについても決めておくのが良いでしょう。

◆クリニック運営や継承・閉院等についてのご相談を承っております

いかがでしたでしょうか。
今後はクリニック等の医療業界においても人材難の時代が続くと言われており、クリニックで共に働くスタッフのスキルUPや、仕事へのやりがいを感じてもらえる環境づくりというのは開業医の先生にとって、大変重要なミッションの一つと言えるでしょう。

弊社では、グループ内に税理士法人や社労士法人を有するクリニック経営に特化したコンサルティングファームである日本医業総研と協業し、クリニックの運営や継承、閉院などのサポートを行っております。
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