クリニックの開業医、どの健康保険を選ぶべき?

 

2024年4月、開業医の多くが加入する医師国保(医師国民健康保険組合)が6年ぶりに大幅値上げされたというニュースがありました。

開業医の先生の中には、今回の値上げを機に自治体の国民健康保険に加入しなおした方がいいのではないか?とお悩みの先生もいらっしゃるのでしゃないでしょうか。
今回は、「クリニックの開業医、どの健康保険を選ぶべき?」と題しまして、医師国保と国民健保、それぞれの特徴について解説してまいります。

■医師国保の大幅値上げ

勤務医時代は、健康保険料は給与から自動的に天引きされていたため、健康保険の仕組みや保険料について特に考えたことがなかったという開業医の先生も少なくないでしょう。
しかし、開業医は自身で健康保険への加入手続きを行い、保険料を納めなくてはなりません。

そこで開業医の多くが加入する健康保険が通称「医師国保」と呼ばれている医師国民健康保険組合です。
医師国保は、第1種から4種まであり、医師が加入するのは第1種組合員です。
各都道府県の医師会に所属する従業員5人未満の個人開業医とその家族、従業員(医療職以外も労働時間などの一定要件を満たせば対象)が加入できます。

2024年4月、この医師国保が月27,500円から34,500円に値上げされました。
年額換算すると330,000円から414,000円へのアップとなり、後期高齢者支援金保険料などの料金も加えると年間474,000円を納めることになります。
さらに、40歳以上が支払う介護保険料も月500円値上がりしました。
介護保険料は年額換算すると72,000円支払うことになります。
これらの保険料を全て合わせると、開業医が納める年間保険料は546,000円となります。

■医師国保のメリット・デメリット

次に医師国保のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
医師国保の大きな特徴の一つが収入によらず保険料が一定であることです。
月々の保険料(東京都医師国民健康保険組合の場合)は以下の通りです。

・医師(第1種組合員)は月34,500円
・従業員(第2種組合員)は月13,500円
・家族(中学生~74歳)は月7,500円
・家族(未就学児・小学生)は月4,500円

一方、国民健保の場合は(各市町村によって異なる)保険料が月50,000円程度です。
両者を比較して分かるように、医師国保は大幅に値上げしたとはいえ、保険料はかなり低く設定されていると言えるでしょう。

しかし、医師国保にも注意すべきポイントがあります。
医師国保には被扶養者という制度がないので、各扶養家族の保険料も納めなくてはなりません。
つまり、同一世帯の人数が増えるとその分の保険料も増えてしまいます。

 

■クリニックの閉院や継承、運営に関するご相談を承っております

いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介したように、保険料と補助金を財源に運営されている医師国保は、医療費の高額化や加入者の高齢化などの背景から、2024年4月に大幅に値上がりしました。
とはいえ、医師国保は、他の健康保険と比べると保険料の面ではかなり有利と言えるでしょう。

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