閉院前に知っておきたいコト~医療機器編~(後編)

クリニックを閉院するときに苦慮しがちな問題のひとつが「医療機器の処分」です。
医療機器には、運び出すことさえ難しい大型のものや、感染リスクに配慮しなければならないものも多いため、家電や家具のように簡単に処分することができません。

閉院前に知っておきたいコト~医療機器編~(後編)」では、医療機器の処分方法や、実際にかかる処分費用などについて詳しく解説してまいります。

◆医療機器の処分方法って?

一般の家庭ごみや粗大ごみと一緒に捨てたり不法投棄したりすると、環境に深刻な影響を及ぼす危険性もある医療機器は、厳しいルールに基づく正しい方法で処分しなければなりません。
ここでは、医療機器を処分する3つの方法についてみていきましょう。

処分方法①:医療機器の廃棄・処分を行っている専門業者に依頼
まず1つ目は、クリニックなどの医療機関が産業廃棄物処理業者に直接依頼し、廃棄料を支払って処理してもらう方法です。
産業廃棄物処理業者は、インターネット検索や最寄りの自治体への問い合わせで見つけることができます。
ただし、医療機器の運搬・撤去を安全に行うには知識や技術が必要ですし、マニフェストの発行など法令に基づいた手続きを確実に行うためにも、医療機器の処理を専門としている業者に依頼するのが安心でしょう。
また、「感染性医療機器」については、通常の産業廃棄物処理業ではなく、特別管理産業廃棄物処理業の許可を持っている業者に依頼しなければ法令違反になります。
意図せぬミスを防ぐためにも、医療機器の処分に精通した信頼できる業者を見つけることが重要です。

処分方法②:医療機器メーカーに引き取ってもらう
2つ目は、使用済みの医療機器の下取り・引き取りや、故障した医療機器を交換するサービスを提供している医療機器メーカーに引き取ってもらう方法です。
メーカーに連絡すれば日程等を調整したうえで回収に来てもらえますし、産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)処理業者への依頼や手続きもメーカーが代わりに行ってくれます。
ですので、医療機関側としては他の方法と比べても負担が少ないのが特徴です。
ただし、メーカーが下取り・引き取り・交換のために医療機器を回収する場合でも、産業廃棄物収集運搬業や特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可がマストとなります。
サービスとして提供されている以上、専門業者に回収を委託するなどの対応がなされていることが殆どですが、心配な場合はメーカー側に事前に確認をしておくのが良いでしょう。

処分方法③:医療機器の買取業者に依頼
3つ目は、医療機器専門の買取業者に売却する方法です。
すべての医療機器が売却できるわけではありませんが、以下のような医療機器は買取対象になるケースもあります。
*画像診断系医療機器(CT/MRI、レントゲン装置、超音波診断装置など)
​​​*心電計・自動血圧計
*その他検査機器
*滅菌器
*手術台

近年は医療機器のリサイクルが注目されるようになり、中古製品の買取需要も増えています。
特に画像診断系の医療機器については、壊れていて買取金額がつかない状態であっても、無料で引き取ってもらえる場合もあります。
ただし、ひとつ注意したいのは、買取業者に廃棄処理を依頼する場合です。
産業廃棄物処理の代行は法的に認められていないため、売買や譲渡という形で所有権を業者に移転する手続きを必ず行っておきましょう。

◆医療機器の処分にかかる費用は?

次に、医療機器の処分を依頼した際に発生する費用についてみていきましょう。
医療機器の処分を産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)処理業者に依頼した場合は、廃棄料を支払わなければなりません。
加えて搬出・撤去作業にも費用がかかるため、クリニックの階層やエレベーターの有無などによっては、 さらにコストが膨らむことになります。
また、地域によっては医療機器の専門業者がおらず、再委託となって撤去費用が二重にかかってしまうケースもあるようです。
費用をかけずに医療機器を処分したいとお考えの場合は、引き取り・下取りサービスを提供しているメーカーに依頼するか、 買取業者への売却が最適な選択肢になるでしょう。
元々が高額でリサイクル需要も高い医療機器ですので、状態が良ければ高値がつくこともあります。
査定を無料で実施してくれる買取業者や、仮に医療機器の状態が悪くても無料で引き取ってくれる買取業者もありますので、廃棄料を支払うよりは少しでも収入になる・無料で処分できる可能性のある売却を選択されることをお薦めします。

◆なるべく高く売却するためのコツ

最後に、医療機器を売却するときの査定額を上げるための4つのポイントについてお伝えします。

ポイント①:できるだけ購入時に近い状態に戻しておく
医療機器の外見を綺麗にしておくだけでも査定額アップにつながるので、査定に出す前には拭けば落ちる汚れやホコリ等は念入りに取り除いておきましょう。
ポイント②:付属品や取扱説明書を揃える
医療機器の場合でも家電などと同様に、本体だけではなく購入時に付属してい付属品や取扱説明書が揃っていると査定額が高くなる可能性があります。
ポイント③:日頃から小まめにメンテナンスしておく
「正常に動作をするかどうか」は医療機器の査定額に大きく影響するため、メンテナンスを怠らないことも大切です。
ただし、故障していても買い取ってもらえる場合もあるので、廃棄する前には是非一度、査定を受けてみてください。
ポイント④:複数の医療機器をまとめで売却する
クリニックを閉院する場合であれば、最終的にはすべての医療機器を処分することになります。
不要な医療機器が複数ある場合は、まとめて査定に出すことで査定額が上がる可能性があります。

◆なるべく高く売却するためのコツ

いかがでしたでしょうか。
クリニックを閉院しようと思うと、医療機器の処分も含めて、手配・手続きをしなければならないことが山積みです。
特にご自身の健康上の都合で閉院をご検討されているようなケースでは、身体的・精神的な負担も少なくありません。

弊社では、クリニックの閉院に関してはもちろん、継承という形でのご引退についても無料でご相談を承っております。
引退に際して、何かお悩みや気掛かり事がございましたら、お気軽にお問い合わせください。