医院継承における譲渡額・譲渡資産の適正額とは?

医院継承において、クリニックの評価価値といえる譲渡額の設定は、非常に重要かつ慎重な検討が必要となります。

最終的な譲渡額は売り手側が決めることになりますが、買い手と売り手は利益相反となる関係となりますから、根拠のない主観や印象といった暗黙知で決めてしまうことは避けるべきです。

あまりにも高額な譲渡額を設定すれば、誰からも手が挙がらず、機を逃して休診や閉院をせざるを得ない状況になります。それだけは避けたいものです。

弊社では、「適正な譲渡額」=「売り手・買い手双方が納得できる客観的な理由がある額」という考え方を採用しております。

今回はこの譲渡額についてより詳しくご紹介いたします。

譲渡額設定の基本は「営業権」「内装・医療機器」「土地・建物」「従業員」

譲渡資産1 「営業権」

弊社では直近三期分決算書の実質年間利益相当額を営業権の目安としています。

ただ、単純に3期の利益平均をとるわけではありません。

たとえば3期の利益が4,000万円、5,000万円、6,000万円と増えている場合と、6,000万円、5,000万円、4,000万円と減っている場合では、平均が同じでも承継先の医師から見ればどちらが魅力的かは一目瞭然です。

また、今般の新型コロナウイルスの感染拡大のような、単期だけ利益が減少しているような場合や、休診により直近の売上が落ちているなど、理由が明確で診療日数を増やせば回復が見込まれるケースもあり、数字の裏に隠れた背景を踏まえる必要があります。

単純に額面だけを見るのではなく、個別の案件ごとに精査したうえで最終的な評価額を算出します。

譲渡資産2 内装、医療機器

20年、30年と継続している医院の場合は、開業時からある内装や医療機器はすでに減価償却を終え、簿価上1円になっていることが多く、譲渡資産にはなりますが譲渡額には反映されません。

最新の医療機器や電子カルテ、内装等の改修をしたばかりの場合は、こちらも簿価上の資産評価を目安に譲渡額に反映いたします。

譲渡資産3 土地・建物

土地・建物も合わせて譲渡することも可能です。土地・建物の譲渡額は、簿価上の金額や固定資産税などを参考にしますが、最終的には双方の合意により決定します。

土地価格で売り手と買い手で意見が割れた場合は、不動産鑑定士など、中立性を担保する第三者からの査定を入れることも可能です。

また、土地建物は譲渡資産とせず、「賃貸」で承継先の先生に借りていただくことも可能です。

その場合、承継先の医師としては初期費用を大幅に抑えることができ、承継元の医院としても長期の安定的な家賃収入が見込まれますので、双方がメリットを享受できる方法といえます。

譲渡資産4 従業員

譲渡額には反映されないものの、長らく苦楽を共にされた従業員の皆様も医院の大切な資産です。患者様に安心して通院してもらうためにも、承継後も従業員の皆様に同じ雇用条件で残っていただくことが望まれます。

個人医院の場合は、手続き上、承継のタイミングでいったん全員を解雇し、新たな院長に雇用していただくことになります。 医療法人の場合は理事長の変更だけですので、従業員の雇用は継続され、特に手続きは必要ありません。

■売り手・買い手双方が納得できる譲渡額設定の為に

日々お問い合わせいただく中の経験として、医院承継をお考えになった段階で「いくらで売りたい」と具体的なご希望金額をお持ちの場合や、「うちの規模だといくらで売れるか?」というご質問を多く頂戴しております。

しかしながら、「1億円で売りたい」という希望があったとしても、それが適正価格なのかどうかは、プロの目線からの客観的な判断を仰いだ方が間違いありません。

本来は2億円で売れる価値があるかもしれませんし、逆に5,000万円まで下げないと売れないかもしれません。

また、第三者に査定してもらったという根拠がある方が、買い手となる先生も金額に対し意思決定をしやすくなり、後継者が見つかるまでの期間も短く済みます。

弊社では譲渡額の査定や、個別のご相談は無料で行っております。 譲渡はまだ3年以上先であったり、金額が安ければ譲渡しないという前提でも構いませんので、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

■ご相談やサービス案内資料の送付は無料で承っております

メディカルトリビューンでは、新規開業やクリニック継承、税務・会計面で500件以上の支援実績を持つ日本医業総研様と提携し、これまで地域医療に貢献してこられた開業医の先生方の豊かなリタイアメントライフを実現するご支援をさせていただいております。
継承支援サービスの案内資料や継承事例のご紹介など、郵送は無料で承っておりますので、ぜひお気軽にお問合せください。