買い手視点からみる譲渡額設定

クリニックを引き継いでもらいたいと考える先生がもっとも気にされるのが譲渡額をいくらに設定すればいいのか?という点です。

とくに無形資産である営業権(のれん代)は、自身がこれまでに築き上げた業績と地域住民からの信頼そのものを数値化したものと言えますので、適正に評価してもらいたいと考えるのは自然なことと思います。

一方、「引継ぎ先が見つかるのが第一。相手が見つかれば営業権はいらない」「こんな額で募集してしまってほんとに後継者が現れるのでしょうか?」と、高額な譲渡額をつけるのに消極的になられる先生も中にはいらっしゃいます。

今回は後継者候補となる買い手側の先生から見て譲渡額はどのように評価されるのか? について詳しく見ていきたいと思います。

新規開業よりも承継開業は低コストで開業できるは正しい?

「新規開業に必要な資金より安くなければ承継開業するメリットはない」

こう考える開業志望の先生や、クリニック経営のコンサルタントもいるようですが、果たしてその認識は正しいのでしょうか?

一般的なテナントでの新規開業に必要な資金は、運転資金も含めて6000万円前後といわれています。

もちろんこの金額よりも低い譲渡額で後継者を募集していたり、実際に継承が成立したケースもありますが、譲渡額を8000万円や1億円で募集していたり、弊社事例では2億円で継承が成立したケースもございます。

こういった事例を見るに、どうやら単に「低コストで開業できる」が承継開業するメリットとはいえなさそうです。

■承継開業するメリットの本質は「安上りで済む」ではない

継承開業には様々なメリット・デメリットがありますが、

メリットをしっかりと理解されている先生は、

「患者を引き継いだ状態で開業できる」という点に重点を置いています。

つまり、新規開業では事業の黒字化からさらに経営を伸ばし、勤務医以上の年収を得られるまで3~5年を要するのに対し、

承継開業の場合はすでに一定の利益を出しているクリニックを引き継ぐわけですので、

初年度から黒字スタートを切れ、勤務医以上の年収を得られるようになるまでの期間が大幅に短縮できる可能性があるのです。

その為、上記メリットを理解されている場合は、単なる譲渡額の多寡ではなく、

「投資する額(=譲渡額)に対してどれだけのリターンが見込めるのか?」

という点を重要視します。

また、このメリットを享受するためには、しっかりと患者を引き継げることが前提となります。 譲渡額を高く設定する場合は、後を継ぐ先生にきちんと患者を引き継ぎ、離散を防ぐことが重要となります。

■もっとも納得が得やすいのは利益ベースでの営業権算出

事業所のM&Aにおける営業権の算出方法は業種によっても多岐にわたりますが、クリニックでは、診療報酬の3か月分をベースとする考えが一般的なようです。

「売上=診療単価×患者数」ですから、確かにシンプルでわかりやすく、患者数もつかみやすい評価方法といえますが、経営で大切なことは収益性です。

例えば直近3か月分の診療報酬が8,000千万円だったとしても、高額な賃料や人件費などが収益を圧迫し、1000万円程度の利益しか出せていない事例も往々にしてあります。

買い手となる先生の開業動機には、「勤務医より高い年収を得たい」という一面が当然あります。

これでは、銀行から資金を調達するリスクを負ってまで継承開業をする意味がありません。

そこで弊社では、直近3期分の決算資料などを精査させていただき、1年間の実質利益を営業権のベースとさせていただいております。

この方法は、精査に時間もかかり一般的とは言えませんが、買い手の先生にとっては、理論上1年で投資金額を回収でき、2年目から大きな利益が得られることになりますから、利回りという面からも納得度が高いものとなります。 こうした買い手側のメリットに配慮した営業権の設定が、後継者候補となる先生の幅を広げ、継承が成立しやすい算出方法だと考え、弊社では採用しております。

譲渡額の査定や閉院・継承のお悩みは専門家へのご相談を

メディカルトリビューンでは、これまで地域医療に貢献してきた先生方のクリニックを未来に引き継いでいくためのご支援をしております。

弊社の継承支援サービスの場合、後継者が見つかり継承が成立して初めて仲介料をいただく完全成果報酬ですので、ご相談や譲渡額の査定などはすべて無料で承っております。

ご相談いただく先生の中には、譲渡額を査定してみた結果、「まだ後継者が見つかりそうで安心した、もうしばらくは頑張って続けてみるよ」とご判断をされた先生もいらっしゃいます。 クリニック経営支援のプロとして、中立の立場でアドバイスさせていただきますので、まずはお気軽にお問合せいただければと思います。