クリニックにおける親族間継承の実態

前回「医院継承の選択肢」にてご紹介したとおり、
医院における承継については以下の3パターンに分かれます。

(1)親子間での継承(親族間継承)
(2)クリニックの従業員(勤務医)への継承
(3)第三者への継承

ご存じの通り、これまで最も多かったのは(1)の親族間継承です。

いわゆる「代替わり」と呼ばれるもので、長らく子供が親のクリニックを継ぐのが一般的とされていました。
相続的な性質も強く、私たちのような継承コンサルタントが入ることなく行われるケースも多くありました。

一方、昨今の開業医平均年齢の高齢化、クリニックの8割近くが後継者が不在というデータもあります。
そういった社会的な背景も重なり、このような親子間承継のケースは減少しております。

「子供も医師に」と考え、実際に子供も医師の道を選ぶケースはありつつも、親子間承継に至らない、もしくは引き継いだ後に息子さんがクリニックを放り出してしまった…といった事例が後を絶たないのは、下記のような理由があると考えられます。

(1)専門とする診療科目が異なる
(2)子息・息女の教育の問題もあり、都市部での生活を希望し地元に戻る意思がない
(3)子供が開業医より大学病院等での高度医療のキャリアを希望している
(4)建物や設備が古い、立地条件が良くない等、将来性を考えた際の承継するメリットが薄い

よく見られるケースは、開業医である親が「子供が継いでくれるだろう」と期待しつつ、きちんと親子間で話し合わないまま年月が過ぎていってしまうパターンです。いざ、子供に承継の意思がないことがわかった時には、既に患者数も減少し、医業承継のタイミングを逃してしまっていた…ということにもなりかねません。

クリニックには「売り時」があります。
院長が意気軒高で、多くの患者がついている時ほど、開業する側にとって魅力的に映り、結果としてよい条件で承継できます。

逆に院長が高齢になるにつれ、体力的に無理が利かなくなり、患者が競合医院に流出してしまうのが現実です。
また、人口減が進む地方などでは承継がうまくいかず、残ったクリニックが負の資産として子供にとって重荷となることもあります。

逆に第三者への継承を考えて買い手と交渉が進んでいたものの、最後になって子供の医師から「引き継ぎたい」という意向が出てきて、交渉を中断するケースもあります。
こちらもせっかく買い手として名乗りでていただいた医師からの信頼を失うことになり、避けたい状況です。

■資料請求やご相談は無料で承っております

M&Aの世界には、「売りたくない時が一番の売り時」という言葉があります。自分のクリニックにはどのくらい資産価値があるのか? もしも第三者に継承するなら、いつがタイムリミットになるのか?

いざというときに選択肢がなくなってしまわないよう、引き際を把握しておくことをお勧めいたします。

本事例にあるような、親子間継承につきましても、過去にサポートをさせていただいた実績がございます。

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