クリニックの後継者探し。質と量はどうやって担保する?[前編]

前回、前々回と、2週続けて親族間での医院継承、従業員への医院継承についてその実態と問題点についてご紹介してまいりました。
今回は、3つ目の選択肢となる、「第三者へのクリニック継承」について詳しく見ていきます。

クリニックを一定の譲渡額と引き換えに第三者へ譲る第三者継承は、これまで出身医局や前職、所属医師会のつながりなど医師間の狭域なネットワークの中で行われてきました。
インターネットの伸展、M&Aコンサル会社の医業業界への進出、開業医の後継者不在問題などの要因により、様々な形での第三者継承が増えてきています。

クリニックを売る側は、「患者・従業員の引継ぎ先や譲渡金を得られる」
買う側は、「初期投資を抑えつつ、初年度からの黒字化が見込める」
等、双方にとっていいことづくめのように感じられますが、
実は院長単独で継承を進めるには様々な落とし穴があり、ハードルが高い方法でもあります。

★第三者継承の進め方
https://clinic.medical-tribune.co.jp/contents/1518/

詳しい進め方等は上記にて、弊社を例にご紹介しておりますので、今回は、院長先生個人で進める場合の問題点について触れていきます。

♦クリニックの後継者探しの為の「質」と「量」担保できますか?

弊社にご相談いただく先生の中には、引退を間近にし、ご自身で後継者をお探しになるも、うまく見つからずご相談いただく先生もいらっしゃいます。
詳しくお話を伺う中でうまくいかないポイントは質と量に問題があることがわかりました。

■①質の問題

・相場から大きくずれた譲渡額を設定している
・譲渡方法が明確でない
など、買う側から見た際に現実的でない条件設定で募集している

多くの場合、買い手となる開業医志望の先生は、勤務医の先生になります。
その為、譲渡額があまりに高額で設定されていると、資金調達のハードルが高くなります。また、逆に相場からみて安すぎる場合も疑義が生じます。

買う側からしてみれば、継承開業はそのクリニックに通っている患者さんを引き継ぐ対価として譲渡額を支払う、といった側面があります。
あまりに低い額だとすでに患者が離れていってしまっている、あるいは地域での評判が芳しくないクリニックであると捉えられてしまう恐れがあります。

何より、仮に適正な譲渡額設定をしていても、中立性のある第三者を介さずに当事者が値付けを行う形となる為、妥当な金額だと受け取ってもらえない可能性もあるでしょう。

また、金額面以外にもクリニックを継承する方法(継承スキーム)が適正でない。という点も障壁の一つです。

たとえば、弊社の場合、医療法人が経営する病院・診療所を承継する際には、M&Aで通常行われる時価評価額による株式の譲渡方式ではなく、
医療法人が銀行から評価額相当の融資を受けたうえで、売り手の院長に退職金を支払うというスキームを採用する場合があります。

M&Aや会計の専門家でない院長先生個人が継承スキームを選定したり、買い手側に納得のいく説明を行うことは難しいでしょう。

■ご勇退・継承の準備は専門家へのご相談を

弊社と提携し、クリニック継承をサポートさせていただく日本医業総研はグループ内に税理士法人や社労士法人を有するクリニック経営に特化したコンサルティングファームです。

また、これまでに550件以上のクリニックをサポートした経験から、クリニック継承において利益相反関係となる売り手と買い手の間に立ち、双方の希望を叶えるためのノウハウを有しています。

譲渡額の算定や、出張相談、資料請求など無料で承っておりますので、お気軽にお問合せください。