クリニック継承後に継続勤務するメリット

後継者が見つかり、無事にクリニックの引継ぎが完了した後のことをイメージしてみたことはありますでしょうか?

一般的には、売った側は引退して悠々自適な第二の人生を楽しみ、これから院長となる買い手側は、開業医の道を歩み始める・・・このようなイメージを持たれる先生も多いと思います。

しかしながら、実際に弊社にご相談いただく開業志望の先生からお話を伺ってみると、「引継ぎ完了後も継続して勤務してほしい」と考えられている先生が多いのです。これはどういうことなのでしょうか?

♦実は買い手にとって前院長が継続勤務するメリットは大きい

クリニック継承において買い手となる先生には大きく分けて2つのパターンがあります。「①開業志望の勤務医」、そして「②医療法人の理事長」です。

①開業志望の勤務医の場合

クリニック継承において多くの場合、医療機関に勤めている勤務医の先生が買い手となります。

開業医の先生におかれましてはよくご存じとは思いますが、クリニックを開業するということは、経営という勤務医時代とは異なるスキルが必要になってきます。

売り手の先生は、まさに開業医として長年経験を積んだ先輩にあたりますから、そのノウハウを期待してしばらく残ってほしいと考える場合があります。

また、新規開業と違い、承継開業のメリットは、患者を引き継げる点にありますから、譲渡後もしばらく前院長が残ったほうが、患者が定着する可能性が高まります。

こういった理由により、前院長が継続して勤務するメリットは買い手に取って大きいのです。

■②医療法人の理事長の場合

クリニックの買い手候補となるのは勤務医の先生だけではありません。分院展開を検討している医療法人の理事長も候補となります。

このケースの場合、前院長の継続雇用を望む割合は勤務医よりもさらに増加します。

医療法人の場合、理事長は本院院長を兼務することが一般的で、分院の新院長として自ら診療することはほぼありません。
そのため、継承時には新院長を自身の医療法人の中から、もしくは全く新規に探して雇用する必要があります。

院長候補を探すことは容易ではなく、院長が見つかるまでの数ヵ月~数年間は、前院長に継続勤務してほしい、と希望することが多いためです。

もちろん、勤務医の場合と同様、前院長が続投することで、患者及びスタッフが離散してしまうことを抑制できるというメリットもあります。

■前院長が継続勤務するデメリット

このように、買い手が勤務医・理事長どちらの場合でも、継続勤務される方が、クリニック継承が成約にいたる可能性が高くなり、また、譲渡額も高くなる傾向にあります。

それだけ前院長に対しての期待値は高いと言えるでしょう。

ただし、前院長と経営方針や診療方針が違う場合には、この継続勤務はリスクになりかねません。
地域患者は前院長の診療スタイルに慣れ、安心して受診されていることの認識を前提に、慎重に検討する必要があります。

こういったメリット・デメリットをしっかり踏まえておきましょう。

■ご勇退・継承の準備は専門家へのご相談を

弊社と提携し、クリニック継承をサポートさせていただく日本医業総研はグループ内に税理士法人や社労士法人を有するクリニック経営に特化したコンサルティングファームです。

また、これまでに550件以上のクリニックをサポートした経験から、クリニック継承において利益相反関係となる売り手と買い手の間に立ち、双方の希望を叶えるためのノウハウを有しています。

譲渡額の算定や、出張相談、資料請求など無料で承っておりますので、お気軽にお問合せください