閉院時にはどんなコストが掛かってくる?医療機器編
閉院の際に発生する金銭的なコストとしては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 医療機器の処分・リース清算費用
- 内装の解体・原状復帰費用
- 什器備品や薬剤など医療廃棄物の処分費用
- 什器備品や薬剤など医療廃棄物の処分費用
- 残債務の弁済費用
- 従業員の退職金支払い
- 廃業に関する法的手続きなどの費用
- カルテの保管や、所有不動産などの維持費用
今回は、処分に関わるコストといった観点から、「医療機器の処分・リース清算」の費用について詳しくご紹介したいと思います。
■医療機器の処分方法について
医療機器の取り扱いについては、リース契約しているものか?自己所有のものか?によって対応が変わります。
- リース契約している医療機器
リース契約は原則として中途解約ができない契約内容になっているものがほとんどです。残リース料相当額の解約料を支払い、解約することになります。
- 自己所有の医療機器
当たり前のことですが、一般的な家電のように粗大ごみとして出すことはできません。その為、メーカーに引き取ってもらう、中古医療機器買取の専門業者に買取を依頼する、買取が難しいものについては、専門業者(公益財団法人 産業資源循環連合会加入業者)に費用を払い処分してもらうという対応が必要です。
金銭面から見てもおすすめは買取業者に買い取ってもらうのがベストですが、中には違法に買取および販売を行っている業者もいるのが現状です。
法令(医薬品医療機器等方施行第170条)を遵守した正規販売ルートを利用している業者を選びましょう。
■〔参考〕専門業者はどのように搬出・撤去を行ってくれる?
医療機器は特殊かつデリケートな電子機器です。したがって搬出・撤去時には様々な工程を踏みます。
以下ご参考までにX線一般撮影装置を例にご紹介します。
例:X線一般撮影装置の場合
(1)搬出通路養生・安全確認
(2)X線高電圧装置 解体
高電圧装置及び、管球に接続している高圧線ケーブルを取り外し、高電圧装置内の本体から接続されたトランス部分を解体、平行して操作盤の撤去作業を実施
(3)管球部分の解体
支柱から管球部分を外し、接続されている2本のトランス部分を解体。管球部分の各ケーブルについてもあわせて解体
(4)ブッキーテーブルの解体
X線支柱部分とブッキーテーブルを接続している箇所を解体し、床面に接続しているボルトなどを外す
(5)X線支柱を解体
(6)搬出・養成部分などの片付け
構成する各種機器が単体ということもあり、搬出時の制約がそれほどない機器だと言えますが、破損を防ぐため、各工程は複数人で注意深く作業することが必要です。X線の種類によっては、床から壁へ壁走行タイプのもの、床から天井へ走行する形のもの、または天井に設置して走行するタイプのもの等、様々な種類のものが想定され、また設置環境によっては解体・撤去作業の為の下見が必要になる場合があります。
また、クリニックの階層や、エレベーターが使用可能かどうか等、作業人数によっても買取価格は変動するため、事前の打ち合わせが必要になります。
X線TV装置の場合は、重量だけでも800kgを超える大型医療機器になるため、一般X線と同様に寝台本体とX線管支持部分を分離、さらに土台部分と寝台を解体する必要があり、解体・搬出に必要な作業コストが増えるため、入念の下見調査が必要となります。
■閉院や継承のお悩み、ご相談ください
高齢や健康上の問題でクリニックを閉鎖しようと思った場合、容易ではありません。
開業の時は、さまざまな業者が無料で手伝ってくださいますが、閉鎖の場合、業者にとって商品を買ってくれるお客様ではなくなるため、協力してくれる業者も少なくなってしまいます。
メディカルトリビューンでは、閉院や継承に関するご相談を無料で承っている他、閉院準備をテーマにしたセミナーも開催しております。先生のご状況に合わせご活用いただければ幸いです。