クリニックの事業計画書はどうやって書く? – 経営基本計画編 –
クリニック開業の新設では、一般的なテナント開業で運転資金まで含めると準備資金は6,000万円程度、戸建て開業では、さらに土地代と建物の建築費が加わることになりますから、1億円を優に超えるケースも少なくありません。
これだけの金額を自己資金だけで賄うことは現実的とはいえず、先生の多くは金融機関からの融資を利用して調達することになります。
この融資を受けるにあたっては、綿密な事業計画書の準備が必要です。今回は、その事業計画書の作成方法についてご紹介します。
事業計画書は、おおまかに「経営基本計画」「収支計画」「資金計画」から構成されています。今回は「経営基本計画書」についてみていきましょう。
■経営基本計画の書き方
経営基本計画は、経営理念や診療内容、開業立地、主な患者層、経営戦略、人員計画などクリニックの根幹にかかわる構想部分となります。
特に経営理念は開業するクリニックの基盤となるものであり、経営理念があやふやでは、開業計画にリアリティが生まれません。
まずは、なぜクリニックを開業したいのか?どういうクリニックを目指したいのか?何を強みとするのか?を考えてみましょう。
例えば、
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基幹病院にも劣らない高度な専門性を発揮
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地域のかかりつけ医として他の医療機関や訪問看護事業所、介護施設等との連携を密に図り、在宅診療にも対応
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適切なプライマリケアとともに、生活習慣の改善など疾患予防の啓蒙にも努める
などがあげられます。
そして、その経営理念をベースに、実現するためには何が必要なのかを一つ一つ検討していきます。
必要な設備とスタッフの人数はどのぐらいか?自分はどのような専門性を持っているか?診療時間をどうするか?…、など具体化したものを経営戦略として文面化していきます。
ここでは、具体的な戦略や計画をただ文章にするのではなく、
「そもそも自分はなぜ医師を目指したか」
「なぜこの地域を選んだか」
など、その理由を練りこむことができれば、ご自身の医師としての思いや熱意を伝えることにも繋がります。
■作成時に注意するポイント
金融機関選びや融資交渉は、開業コンサルタント経由で行うことが多く、経営基本計画の作成も専門家の開業コンサルタントや税理士に丸投げする方もいらっしゃるようです。病院勤務で直接的に経営を学ぶ機会のなかった先生方には、それもやむを得ないでしょう。
しかし、計画の内容や具体的な数字を医師自身が十分に理解しておくと、融資の審査面接に挑む際には自身の考えを口頭ではっきりと伝えることができます。
金融機関は数値化された事業計画書だけでなく、先生の経営者としての適性や信用など人物本位での判断も重視する傾向があります。
先生ご自身が経営の当事者であることを強く認識するようにしてください。
■事業計画書の作成は専門家へご相談ください
いかがでしたでしょうか。
事業計画書の作成は大変なことではありますが、金融機関に融資の相談や開業後の経営方針に影響しますので、クリニック開業と運営を成功させるための羅針盤だとよくいわれます。
一人で事業計画書作成を進められる医師もいらっしゃいますが、収支計画や資金繰りといった金銭面のつめが甘くなりがちで、そのままでは金融機関の担当者に納得してもらえないことがほとんどです。より説得力のある計画書を作成するには、専門家からサポートを受けたほうが良いでしょう。
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