クリニックの親子間継承でのトラブルとその対策は?

親子間での医院継承は、いわば赤の他人へ引き継ぐことになる第三者継承と比べるとスムーズにいくのでは?と思われる方もいらっしゃると思いますが、実は親子間だからこそ、トラブルになってしまうケースも多々あります。

今回は親子間継承で起こりやすいトラブル例とその対策について、具体的にご紹介していきます。
将来、子供へのクリニックを引継いでもらいたいとお考えでしたら、是非ご参考いただければ幸いです。

■親子間継承でトラブルになりやすい点とは

親子間継承にてトラブルにつながりやすいのは、大きく以下のような点です。

①価値観・意向の相違
②環境や立地、評判
③建物の修繕や設備の修理等

詳しく見ていきましょう。

①価値観・意向の相違

親とその子供と言えど、必ずしも価値観や考え方が一致するとは限りません。
むしろ、全く正反対の価値観を持っているというケースも少なくなく、クリニックの経営方針や、診療への考え方などに大きな食い違いがあれば、そもそも引継ぎできなかったり、引継ぎ後にトラブルに発展する、患者やスタッフとの関係づくりがうまく行かない、等の様々な問題の温床となります。

②環境や立地、評判

クリニックを引き継ぐということは、単に医院や患者を引き継ぐという意味ではなく、そのクリニックの立地や環境、そして評判、評価も一緒に引き継ぐということです。

また、時代の流れとともに競合が増え、集患の観点からは魅力的な立地条件ではなくなっていることは珍しくありません。

立地自体の検討から始められる新規開業や、ある程度選択肢の幅がある第三者継承と比較すると、選択の余地がなく、継承を断念せざるを得ない理由につながる可能性はあります。

③建物の修繕や設備の修理等

継承の利点の一つは、医療機器を新規で調達する必要がなく、初期費用を抑えられることです。

しかし、医療機器や院内設備、建物自体が老朽化している場合には、修理費用を払う必要があります。
また、老朽化していなくても、型落ちしていたり、電子カルテが未導入で紙カルテを使っている等、勤務医時代に使い慣れたものに比べると使いにくさを感じてしまうこともあります。

医療機器の調達や内装の工事には、大きな費用が発生するため、準備には時間がかかります。
すぐに買い替えや購入が必要なものとそうでないものに分け、経営が軌道に乗ってから逐次刷新していくなど、すり合わせが必要と言えるでしょう。

■トラブルを防ぐには?万が一への備えも一緒に

例ごとに分けてご紹介してきましたが、​​​​​実際には複合的に問題が絡み合っている場合が少なくありません。
トラブルを防ぐための​​​​​何よりの対策は、引継ぐ意思があるのかどうかを早めに確認しておくことです。

弊社にご相談いただくケースでもよく見られるのは、開業医である親が「子供が継いでくれるだろう」と期待しつつ、親子間でのきちんとした話し合いの場を持たないまま先送りにしてしまい、実際に子供に継ぐ意思がないことが判明した後に慌てて第三者継承を検討しだすパターンです。

また、親心としてどうしても子のやり方に口出しをしてしまいたくなってしまうものですが、子の立場からすればそれが煩わしく感じられてしまうことも。
子供ではなく、一人の医師として接し見守りながら、経営や診療のアドバイスを求められた際にこたえるといった姿勢で臨むのがトラブルを回避するポイントと言えるでしょう。

また、万が一継がないとわかった際に慌てないよう、第三者継承の道も同時に模索しておくことも重要です。
第三者継承を仲介会社に依頼した場合には、殆どのケースにおいて、クリニックの経営状態の分析や、診療圏調査を実施することになり、客観的な視点から自院の状況を見つめ直す機会となります。

こういった情報を元にすれば子供と継承について話し合う際にも、スムーズに進めることができます。