うまく開業できたと思ったら、トラブル発生?!その②

■医療器械の作動確認を怠ったばかりに

とある内科診療所の院長が病気療養を理由に引退を決め、承継先を探している、との相談が、知り合い経由でB医師のところに入りました。
開業して20年以上経過し、院長が病気になる前は、患者数は1日平均100名と好調だったそうです。

開業を検討していたB医師ですが、患者とスタッフ、施設・設備をそのまま引き継げるなら承継開業もありだと考え、実際にクリニックを見学してみました。

当日は体調の思わしくない院長に代わり、親族の案内で院内状況を確認しました。

キレイに使用されており、手を入れることなくすぐ診療できることと、駅から近く集患面でも優位性があると考え、将来性のある物件だと判断。
院長都合による急募ということもあって、譲渡額は相場よりかなり安く、B医師は即快諾し、承継の話はトントン拍子で進みました。

その他の譲渡条件についても双方の希望は合致していて、特に交渉の必要もないため、B医師は契約や行政への手続きの部分だけを仲介会社(クリニック非専門)に依頼。契約、金銭の支払いはすべて終了し、無事に承継開業できました。

しかし、開業してすぐに気づいたのですが、見た目がキレイだったレントゲン自現機は、実は中に錆が出ていて作動せず、業者に聞いてみたら修理代は100万円以上かかるとのことでした。

元院長の親族に連絡したところ「医療機器については知らない。引継ぎの後に壊れた可能性もある」と言われ、修理代を出してくれる様子はありません。

確かに見学時にはすべてに機器の作動を確認していなかったし、契約書にも機器の状況について明記がなかったことに、自分にも責任があると反省したB医師は、仕方なく費用を負担し新しい自現機に買い替えることになりました。

■想定外のトラブルを未然に防ぐには?

医院継承においては、一般的には承継前(場合によっては承継後も)に一定の期間、新院長・元院長が一緒にクリニックで働き、患者さんを引き継ぐ為の十分な期間を設けます。
今回のような医療機器の不具合についても、引継ぎ期間を設けていれば回避することができました。

しかし、今回ご紹介したようなケースでは、新院長にとっては試運転となる引継ぎ期間もなく承継開業することになってしまいます。
よくあるトラブルとして、元院長しかわからない「患者層や診療情報の収集が難しい」「医療機器の直近の稼働状況が分からない」などが挙げられます。

また、クリニックを専門とする仲介業者が入っていれば、医療機器の状態や契約内容などをすべて精査することで、同様のトラブルは防げた可能性が高いと言えます。

医院継承は高い専門性が求められる分野です。
医師同士の直接取引(今回のように医師とクリニック状況に詳しくない親族の場合はなおさら)は、想定外のトラブルを招きやすく、承継後に問題を抱えない為にも、事前に専門家を交えて相談しておくことをおすすめします。

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