収入面から見た開業医と勤務医のメリット・デメリット

 

開業医と勤務医とのメリット・デメリットはさまざまな視点から比較することが可能です。今回はまず、それぞれのメリット・デメリットを考えてみたいと思います。

収入面に関しては、少し古いですが、平成21年6月に厚労省が実施した「医療経済実態調査」の報告がしばしば引用されます(以下、病院勤務医と個人開業医との比較に話を絞ります)。

※https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken12/iryouhoushu.html

これによると、病院勤務医の年収は1,479万円(月123万円)、開業医(個人)の収益(収支差額)は2,458万円(月205万円)で、額面上の収入は明らかに開業医のほうが多いといえます。

しかし、このグラフに関する厚労省の見解 にもあるとおり、開業医の場合は、この収益から、

・診療所を建築するために借り入れた借金(元本)の返済
・診療所の老朽化に備えた建て替えや修繕のための準備金
・病気やけがにより休業した場合の所得補償のための費用
・老後のための退職金相当の積立て

といったものを差し引く必要があり、その残りが開業医(院長)の本当の“年収” となります。こういった費用を考慮せず単純に「収入面では勤務医よりも開業医のほうが有利だ」とは言えなさそうです。

■収入面以外での勤務医と開業医の比較

収入面以外で勤務医、開業医を比較すると、 収入面での安定という点では、給与所得者(サラリーマン)である勤務医は個人事業主である開業医より安定しています。開業医の場合、開業後、安定的な黒字経営となるまでは不安がつきませんし、安定してからも競合の現出や人事問題など、常に経営者としての緊張が続きます。

労働時間については、勤務している病院の体制や役職による差はあるものの、勤務医全般に言える長時間労働を完全に避けることは難しいでしょう。開業医も訪問診療などを受け入れている場合、多忙を極めますが、自らの裁量で調整が可能です。入院施設をもちませんので、当然当直勤務はありません。

症例経験の蓄積や医学的スキルの維持・向上に関しては、医療機能上、中核病院勤務医のほうが難しい症例を扱うことが多いでしょう。開業医は、関連学会等での情報収集や学びの機会があるものの、勤務医と同レベルでの経験蓄積は難しいでしょう

診療方針については、開業医は一国一城の主ですから、すべてを自分で決めることができ、理想的な地域医療を目指す先生であれば、開業の道がより良い選択肢となるかもしれません。

■開業に伴う経済的リスクを軽減できる承継開業

このように、勤務医、開業医、いずれもメリット・デメリットはありますが、<開業医のほうが勤務医より楽で高収入>という安易な考え方には注意が必要です。

以上を理解したうえで、開業を検討されている先生におすすめしたいのが、第三者承継開業です。

院長の老来や後継者不在などさまざまな理由で、長年続けてきたクリニックを第三者に引き継いでもらうこの事業継承は、新規開業に比べ設備投資を抑えられる点や、患者さんを引き継ぐことによる早期の経営安定など、開業に伴う経済的リスクを軽減できる開業方法として、注目を集めています。

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