クリニック第三者継承 成約事例インタビュー『かなやファミリークリニック(旧:はら医院)』後編

決め手はそのお人柄。切れ目なくつながれた地域医療

左)原みさ子 前副院長 右)金谷 翼 新院長

急性期医療の現場から見えてきたプライマリケアの大切さ

―――それでは、ここからクリニックを承継された新院長の金谷翼先生に話をうかがいます。まず先生は、東京大学卒業後の研修先として虎の門病院を選ばれたのですね。

(金谷翼新院長)研修制度の整った病院としては、虎の門病院や聖路加病院、沖縄県立中部病院、三井記念病院などが知られていますが、なかでも虎の門の初期研修は近年でも人気の高い臨床研修だと思います。
虎の門には院長をはじめ東大出身者が多数在席していて、研修医も毎年1~2人受け入れていただいていますが、先輩は皆さんパワフルで、充実した研修を受けることができました。

―――後期研修を受けられたのは横浜労災病院の循環器内科でしたね。

中核病院の循環器領域は、ステントやペースメーカの植込み、心房細動アブレーションなどのほか、冠動脈バイパス手術や不整脈の手術なども実施しています。
ですから横浜労災の循環器内科で診る領域も広く、とにかくマンパワーを必要としてきました。

とくにコロナ禍では、重症呼吸不全患者のECMOも循環器内科で管理していました。溢れ返る新型コロナ感染症患者さんの対応現場は、さながら野戦病院のような様相でした。
そうなると、どうしても目の前の病気の対応に目が行ってしまい、本当に患者さんを診ているのかという自己嫌悪にも似た割り切れなさが生じます。

患者さん個々の訴えとコンテクストに向き合って、正しく診断し、一緒に治療に取り組むことが外来の本来あるべき姿ですし、そこでこそ発揮できる専門性もあると思います。
ときに患者さんの心の機微に触れる、突っ込んだ質問を試みることもあります。医師によって見える視界も違いますし、患者さんも担当医が変わることで、質問や訴え方も違ってきます。

勤務医として急性期医療を10年弱やってきて、専門性を発揮してきた一方で、外来患者さんの病気をキチンと見つけてあげて適切な医療につなげることの大切さ、以ってプライマリケアの重要性を再認識しました。

―――東京大学大学院での博士課程を修了されたばかりの先生が、自院開業を意識されたきっかけをお聞かせください。

虎の門病院と、横浜労災病院循環器内科での5年間の研修医生活は毎日がハードで、クタクタの体で大学に戻り、基礎研究を開始しました。
実験に明け暮れる日々で感じていたのは、私自身は基礎研究にはあまり向いておらず、臨床現場で患者さんと向き合っているのが好きなんだということでした。

大学院を修了する段階では、いつかチャンスに出会えたら開業してみたいと考えていました。

―――事業承継での開業という考えは、最初からあったのでしょうか。

もちろん、新規での開業も選択肢としてはありましたし、実際にいろいろな関係者から情報をいただいたのですが、正直なところで開業のイメージが浮かびませんでした。

東京都内というだけで特にエリアを限定せずに検討していましたが、メディカルトリビューンを訪問した際に、長年しっかりとした地域医療をされてきて、患者さんからの信頼も厚いという「はら医院」の話をうかがい、その取り組みに感服しました。
承継開業を具体的に意識したのはそこからですね。

―――旧「はら医院」をご覧になっての第一印象をお聞かせください。

方南町駅から近く患者さんの通院の利便性が高そうなこと。それでいて、商業地域の賑やかさはなく、住宅街の落ち着いた雰囲気が印象的でした。
内装もきれいなまま丁寧に使われていて、経年劣化を感じさせませんでした。原明博前院長も優しそうな方で、クリニックにはとてもいい印象を受けました。

―――クリニックで提供されている医療についてですが、本日は前副院長の原みさ子先生にお越しいただいているので、小児科医療の話を中心にお聞かせいただきたいと思います。金谷先生は勤務医時代に小児科のご経験はもちろんなかったわけですよね。

小児科医療を学ぶ機会はありませんでしたが、2児を育てる父親としては子どもを診ることについての抵抗はありませんでした。
みさ子先生の外来に約3カ月入らせていただき、さすがにキャリアの違いを感じたわけですが、それと同時に地域から支持されている理由の一端が見えた気がします。

子どもが風邪をひくと、お母さんにも感染することがある。お母さんやお父さんには、生活習慣病などの基礎疾患がある。地域の方々がかかりつけ医に求めるのは、そうしたケースの受け皿です。

当院における原明博前院長の内科と、みさ子先生の小児科がまさにその機能を果たしてこられたのだと思います。

引継ぎ期間中の学びと順調な立ち上がり

――― 「はら医院」が「かなやファミリークリニック」に名称を変え、金谷先生お一人での運営となりましたが、承継後の経営数値はまずまずのようですね。

どうしたら「はら医院」の持つ信頼を承継できるのか、引継ぎ期間中に学んだことを自分の体内に落とし込んでいかに実践するかだけを考えました。
2馬力が1馬力になって、患者さんから果たしてどう思われているのかを直接うかがうことはありません。スタッフの皆さんにはそれぞれに感じておられる部分があるでしょうが、そんなに悪くはないのではないかと思っています。

 (原みさ子前副院長)主人はクリニックの実績数値を聞いて、「すごいね」と感心していました。1馬力どころか、旧はら医院と比べても8割方は達成できているのではないでしょうか。
多分、金谷先生が時間を上手にコントロールされているのでしょうね。

それと、なんといっても先生の人柄です。子どもの診察姿を見ても、男の子が泣き止まず恐縮するお母さんに対して、「大丈夫ですよ。うちの息子が泣き出すともっとすごいですから、全然優秀です」と笑顔を絶やさずに対応されています。
内科領域は本業ですが、患児や親御さんに与える安心感という意味でも、金谷先生なら小児科医療をお任せして大丈夫だと思っています。

―――スタッフの皆さんも「はら医院」から継続雇用されているのですね。やはり、地域や患者さんのことを知るだけに先生としても心強いのではないですか。

(金谷翼新院長)前勤務先から気の知れた看護師を一人採用した以外は、皆さんに残っていただくことができました。日常的に大分助けられているというより、スタッフが作った枠組みのなかで、私が医療をやっているという感じです。
しばらく看護師不在の期間が続いていたようですが、今回入職した看護師は既存スタッフと年代も近く、承継時に導入した電子カルテの操作など助かっているという声も聞きます。
なによりも院内の穏和な人間関係が、そのままクリニックの姿として患者さんに伝わっているのではないかと思っています。

(原みさ子前副院長)金谷先生には、スタッフ全員を、これまでとほぼ同じ条件で再雇用していただいたことをありがたく思います。
言葉には出さずとも、院長交代によるスタッフの動揺は少なからずあったと思われますが、元々皆が言いたいことを言い合って、和やかなチームワークで運営してきて、これからも皆でうまくやっていきたいという想いがありましたので、一人も路頭に迷わすことのない最高の承継結果となりました。

―――新生「かなやファミリークリニック」の将来像をどのように描いてらっしゃいますか。

(金谷翼新院長)まずは、これまで提供してきた医療を維持していくことです。経営の発展は、新しい機能を付加することではなく、維持の延長線上にあると思っています。ただ、患者さんも代替わりをするなかで、若い患者さんを積極的に取り込んでいくことが課題です。ゆくゆくは訪問診療を充実させたいという考えもありますが、何でも往診に頼るような、医療をコンビニ化させてはなりません。多少体力の衰えがあっても、外来にお越しいただくモチベーションを持ち続けていただくことが大事だと考えています。専門の循環器内科も心エコー検査やホルダー心電図程度はやっていますが、やはり一般内科の患者への門戸を広げることが大切です。

―――最後に両先生にお伺いします。今回の医院承継のマッチングサービスおよび実務を、メディカルトリビューンと日本医業総研の協業チームにお任せいただきましたが、サポート内容についての忌憚のないご意見をお願いいたします。

(金谷翼新院長)まず、満足度という点も含め、今回のサポートには本当に感謝しています。

私の場合、新規開業も視野に入れていたので、複数の関係会社に登録していました。いろいろな情報をいただいたのですが、他のコンサル会社は物件ありきで、ここで決めなければ駄目という回答を迫るわけです。
日本医業総研の場合、回答を求める前に、まず私のテンポに合わせて話をしていただき、質問にも丁寧に対応いただきました。

そのなかで「はら医院」を紹介いただいたわけですが、クリニックの経営評価が適正で、業績や施設だけでなく、スタッフの皆さんがプロの仕事をされていました。このクリニックをベースに開業医としてやっていこうと決意しました。

(原みさ子前副院長)主人からメディカルトリビューンのセミナーに参加したときの話を聞き、患者さんのことを考えれば廃業するより承継した方がいいかなと思ったわけですが、非常にいいビジネススキームだと思います。

新型コロナ対応への体力的な不安から承継を急ぎたいという背景もありましたが、熟考の末に主人が意思決定した後は、スピーディーに話が進みました。金谷先生には承継の数カ月前から来ていただき、患者さんも戸惑うことはありませんでした。

隙間ない院長交代もそうなのですが、結局、医療は人なのです。金谷先生に対する患者さんの安心感は横から見ていても実感します。金谷先生に継いでいただいたことを本当に頼もしく思います。

(文責 日本医業総研 広報室)

Clinic Data

かなやファミリークリニック
診療科 内科/循環器内科/小児科/アレルギー科/皮膚科

前副院長 Profile

原みさ子 先生

医学博士/日本小児科学会認定小児科専門医/日本アレルギー学会認定アレルギー専門医

東邦大学医学部卒業
順天堂大学医学部 小児科学教室入局
東邦大学大橋病院 小児科
はら医院 副院長
かなやファミリークリニック 非常勤

新院長 Profile

金谷 翼先生

医学博士/日本内科学会認定内科医/日本医師会認定産業医

2012年 東京大学医学部医学科 卒業/虎の門病院 前期研修医
2014年 横浜労災病院循環器内科 後期レジデント
2017年 東京大学医学部附属病院 循環器内科
2021年 東京大学医学系研修科 博士課程修了
2022年 かなやファミリークリニック(旧はら医院を承継)院長就任

■ご相談やサービス案内資料の送付は無料で承っております

メディカルトリビューンでは、新規開業や継承、税務・会計面で600件以上のクリニック支援実績(2022年10月時点)を持つ日本医業総研様と提携し、これまで地域医療に貢献してこられた開業医の先生方の豊かなリタイアメントライフを実現するご支援をさせていただいております。
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