クリニックの閉院コスト、ご存じですか?
今回は、「クリニックの閉院コスト、ご存じですか?」と題しまして、クリニックを閉院する際に発生する費用について解説してまいります。
クリニックの院長先生が自らの引退についてお考えになられる際、ご子息やご息女の方に後継者がいらっしゃる場合は親族間継承を、ご親族内に医師の方がいらっしゃらない場合は、知人や友人への譲渡や公募による第三者継承をご検討されるのではないでしょうか。
また、後継者がご不在のまま引退の日を迎えた場合は、閉院となるケースもございます。
弊社でも、クリニック継承のご相談を多くいただきますが、その中でもよく聞くのが「まあ、売れなければ閉じようかと思います…」という言葉です。
しかし、実際のところ閉院というのはそう簡単にできるものではありません。
◆一体、閉院の何が大変なのでしょうか?
①患者様の引き継ぎ
まずは、気持ちの面でも作業の面でも負担となる「患者様の引き継ぎ」です。
自院に通院されている患者様を他院へ引き継ぐ必要があるのですが、患者様一人一人の状況や既往歴に見合った医療機関に紹介するということは大変手間と労力のかかる作業ですし、患者様の通院の負担にも配慮が必要です。
また、患者様のカルテは5年間の保管義務があり、その管理方法も決めなくてはなりません。
②医療機器の廃棄
次に、医療機器についてです。
医療機器を廃棄する場合、当たり前のことですが、一般的な家電のように粗大ごみとして出すことはできません。
メーカーに引き取ってもらう、中古医療機器の専門業者に買取を依頼する、買取が難しいものについては、専門業者(公益財団法人 産業資源循環連合会加入業者)に費用を払い処分してもらうという対応が必要となります。
また、X線TV装置などの大型医療機器は、重量が800kgを超えるものもあります。
医療機器の処分・リース清算費用以外にも、解体・搬出に必要な作業コストや、設置環境によっては解体・撤去作業の為の下見が必要になるなど、かなり大掛かりになるケースもございます。
③不動産関連
さらに、閉院費用の中でも多くの割合を占める不動産関連についてです。
テナントで開業していた場合、不動産の契約次第ではありますが、多くの場合は退去時に内装を元の状態に戻す「原状回復工事」を行う必要があります。
広さや造作にもよりますが、室内をスケルトンに戻すには大体300~600万円といった多額の費用を要するため、注意が必要です。
※詳しくは過去の記事に詳しく掲載しておりますので、是非ご参照ください。
>医療機器の廃棄に関する記事はこちら
>不動産関連で発生する費用についてはこちら
◆継承と閉院、どのくらい差が出る?
上記の例の通り、譲渡対価を受け取れる第三者継承では金銭的なメリットがあり、一方で閉院の場合は、得られる対価もなく、テナントの原状回復工事費用などで出費がかさみ、第三者継承をした場合と比較すると2,500万円もの経済的な損失が生じます。
◆ご勇退・継承の準備は専門家へのご相談を
いかがでしたでしょうか。
実際のところ「他社にも相談したが後継者が見つからず、閉院しようと思ったのですが費用や労力がかかるのでもう少し頑張って探したい」という院長先生からのご相談も多くいただきます。
引退をお考えになられる際には、閉院する場合と第三者継承する場合それぞれに掛かる、労力や費用、得られる対価などを比較し、早め早めに準備を進め、行動されることをお薦め致します。
弊社では、これまで600件以上のクリニック支援実績を持つ日本医業総研と提携し、クリニックの第三者継承をサポートさせていただいております。
また、既に他社にご相談されている場合や、閉院をご検討中の先生にもセカンドオピニオンとしてご活用いただける継承診断サービスも実施しております。
まずはお気軽にお問い合わせください。