開業時のスタッフ、5年後には誰も残っていないってホント!?

今回は、「開業時のスタッフ、5年後には誰も残っていないってホント!?」と題しまして、スタッフが早期退職してしまい、なかなかベテランのスタッフが育たない理由について考えていきたいと思います。

本記事をお読みいただいている先生の中にも、「開業時のスタッフは開業して5年後には誰も残っていない」という話を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

◆なぜ退職してしまうのか

スタッフが長く続かない=ベテランのスタッフが育たないことは、クリニックにとっては大きな課題となります。
では、いったい何故、クリニックに勤務するスタッフは早期退職してしまうのでしょうか?

考えられる理由①:職場の雰囲気と人間関係
よく聞かれる退職理由のひとつが、「職場の雰囲気と人間関係の悪さに耐えられなかった…」というケースです。
特に入職してすぐのスタッフは、自分がこの職場環境に合うかどうかを見極めるために、職場の人間関係や雰囲気に敏感になっています。
採用ではクリニックに慣れた経験者を優先してしまいがちですが、チームで運営する以上、人物本位での評価が大切です。
また、採用後の研修に問題はないか、任せる業務内容は適切かなどにも、細やかに配慮することが重要となります。

考えられる理由②:給与の問題
給与に関する不満から退職してしまうケースも多く聞かれます。
「給与が低い」と感じるのは、毎年の昇給や賞与、退職金を含めての、自身の働き(クリニックへの貢献)に対する経済的な評価(待遇)が適当ではないという不満から生まれる感情なのではないでしょうか。
特に開業したばかりの立ち上げの期のクリニックでは、キャリアに応じた昇給や賞与などの給与体系がまだ構築されていない場合がほとんどで、給料や賞与などの待遇面で誤解を生んでしまうケースもあります。

考えられる理由③:やりがいを感じない
受付応対や医療事務の業務は、勤務して3年も経てば一通りスムーズにこなせるようになるかと思います。
もちろん、診療報酬の改定など、最新の医療情報や知識を日ごろからアップデートしておく必要はありますが、通常の受付業務やレセプトは毎日決まったやり方でこなしていくこととなるのでマンネリ化してしまい、徐々に仕事への「やりがい」を見出せなくなってしまうケースが多いのでないでしょうか。

考えられる理由④:休みにくい
ひと昔前と異なり、労基法に定める有給休暇をキチンと付与するクリニックが一般的になった一方で、主婦やパートが主力となるクリニックでは、スタッフ数に余裕をもったシフトが組めずに、「子どもの学校行事や法事などの必要なタイミングで休みが取りにくい」、「毎回のことで申し訳なくて思い言い辛い」といった声も多くあるようです。
また、計画的付与を活用したまとまった有給休暇を使用することも簡単ではありません。
こういった“休暇の取り辛さ”といった点で、働き方改革を積極的に進めている一般企業との格差を感じるスタッフは少なくないようです。

考えられる理由⑤:勤務時間の長さや業務量
クリニックの1日の就業時間は平均8時間程ですが、中抜けや残業当番などがあったりと拘束時間が10時間を超えるケースもあります。
主婦が中心となるだけに、子育てや家族との時間が十分に取れないといった理由で現在よりも拘束時間の短い環境を希望されることも多くなっています。
特に20代~30代のスタッフは「ワーク・ライフ・バランス」を重んじる傾向が強く、拘束時間の長さを敬遠して、より拘束時間の短い職種への転職を考えるケースも増えてきています。

◆退職を防ぐためにできること

退職を防ぐためにできること①:職場の雰囲気を改善
職場に雰囲気を改善するためには、意識してコミュニケーションしやすい環境づくりを行うことがポイントとなります。
・圧力を感じる態度や怖い雰囲気
・言うことがコロコロと変わる
・話を聞かない(業務に関心をもたない)
自身や勤務年数の長いスタッフがこのような行動や態度をとっていないか、改めて見直すことも重要です。

退職を防ぐためにできること②:スタッフと小まめにコミュニケーションをとる
スタッフ間のコミュニケーション改善には、まずトップである院長がスタッフひとりひとりと向き合う必要があります。
定期的に個人面談を実施するなど、スタッフそれぞれの状況や考えに耳を傾け事前に把握しておくことで、募り募った不満が膨れ上がって退職してしまうといったケースを未然に防げるのではないでしょうか。

◆10年間、開業メンバーが全員残っているクリニックもある

一方で、ご主人の転勤での退職などを除き、開業時からのスタッフが全員残っているクリニックがあるのもまた事実です。
そのようなクリニックに共通するのは、
*先生がスタッフの業務に関心をもち、その頑張りを正当に認める
*お子様の急病など、当日でも気兼ねなく休めるような体制を整える
*かしこまらない、全員参加の昼食会や誕生日会などを開催する
など、やはりスタッフへの細やかな気遣いや働きやすさ、人間関係が良好で明るい職場環境であるといった、皆が気持ちよく働ける職場環境づくりを心掛け、積極的に取り組んでおられる点ではないでしょうか。

◆クリニック開業に関するご相談を承っております

いかがでしたでしょうか。
クリニックを順調に運営するにあたって、共に働くスタッフが退職してしまうことはとても深刻な問題です。
特に人手不足が社会全体の課題となっている昨今においては、ますますスタッフ確保が難しくなってくるでしょう。

将来的に開業を検討されていたり、開業にご関心がございましたら、お気軽にお問合せください。