クリニック継承前にリフォームって必要なの?
昨今、クリニックの院長先生をはじめとする開業医の高齢化や、後継者不足問題がクローズアップされております。
弊社においても、閉院や第三者継承などの「引退」に関するご相談をいただく機会が増えてまいりました。
今回は、「クリニック継承前にリフォームって必要なの?」と題しまして、その判断基準やメリット・デメリットについて解説します。
◆リフォームが必要かどうかの判断基準
リフォームを行う必要があるかどうかの判断基準として、以下4つポイントをみていきましょう。
①施設の状態
クリニックの建物や設備が、どの程度老朽化しているかを確認します。
老朽化が激しく、機能的にも改善が必要な箇所がある場合は、リフォームを行った方が良いと判断されることがあります。
衛生基準や法的要件に適合していない場合も、継承後になって役所から指摘を受ける可能性がありますので、改修を行うなどの対策が必要と言えるでしょう。
②患者様の需要と期待
クリニックを運営するためには、患者層やニーズを把握し、それらに適した診療環境を提供する必要があります。
老朽化が原因で患者様のニーズに応えられなくなっている場合や、安全性が保たれていない場合は、診療環境の快適性や安全性を向上させることを目的にリフォームを行った方が運営の継続の為には有益となるでしょう。
また、後継者となられる先生はほとんどの場合で電子カルテを使用されますので、現在紙カルテ+レセコンで管理されているクリニックの場合は、そうした設備環境にも目を向ける必要があります。
紙カルテから電子カルテに替わることは、スタッフ動線にも少なからず変化が生じますので、その辺りの影響も踏まえて考慮しなくてはなりません。
③経営戦略とブランディング
また、クリニックのイメージやブランド力を向上させるために、内装や外装のリフォームを行うケースもあります。
実際に第三者継承を行うにあたって、まずはノンネームで後継者候補の方を募集しますが、「クリニックの内装や建物が綺麗」というのは一つのアピールポイントとなります。
④財務計画と予算
しかしながら、リフォームを行うためにはそれなりの費用がかかりますし、工事の規模によっては数日間休診しなければならない事態が起こります。
そのため、クリニックの財務計画や予算に基づいて継承前にリフォームを行うのかどうかを判断する必要があります。
リフォームすることによって将来的に収益が向上する見込みがあるのか、経済的に持続可能な計画であるのかを考慮することが重要です。
これら4つの要素を総合的に評価し、継承前にクリニックのリフォームを行うかどうかを慎重に判断されることをオススメします。
◆継承前にリフォームを行うメリット・デメリット
前述の通り、継承前にリフォームを行うメリットは、後継者を募集する際に、「内装や建物が綺麗なクリニック」として売り出すことができるという点です。
確かに、経年劣化を放置したままのクリニックよりも綺麗にメンテナンスされている方が良いに越したことはありません。
弊社がご支援した中でも、後継者候補の方がクリニックを内見された際に「承継案件なので内装など状態には期待していなかったのですが、とても綺麗ですね!」と、魅力を感じられるケースも少なくありません。
しかし、継承前のリフォームは「リフォーム費用により帳簿上の固定資産額が高くなってしまう」という懸念もあります。
当社の場合クリニックの譲渡額は、原則的に実質利益の1年分(直近3か年の平均)+固定資産額(帳簿価額)で算出しています。
クリニック継承では、継承時には減価償却により医療機器などの帳簿価額はほぼ0円に近い状態になっていることが多いのですが、新調やリフォームを事前に行うことで、当然「固定資産額(帳簿価額)」は高くなってしまいます。
つまり、固定資産額(帳簿価額)が高くなる=譲渡額が高額になるということです。
このように、譲渡額が高くなってしまうことで候補者が見つけにくくなる可能性もあるので、継承前のリフォームには譲渡額への影響も念頭に置いておかなくてはなりません。
また、よかれと思って行ったリフォームが後継者の方のビジョンや診療スタイルにそぐわないという可能性もあります。
実際にクリニックを承継された先生の3~4割は、理想とする診療を実現するために患者様やスタッフの導線を考えた上で承継後にご自身でリフォームを行われています。
これは、第三者継承だけに限ったことではなく、親子間継承の場合も同様です。
「後継者となるご子息・ご息女のために、クリニックを綺麗にリフォームし、設備も新調しておこう。」という親心もあるかと思いますが、はたして本当にそのリフォームや設備投資の内容は後継者が望むものなのでしょうか?
承継後の円滑なクリニック運営を実現するためにも、後継者となられる方の開業ビジョンを聞き、何が必要かをじっくりと見極めることが大切です。
◆クリニック継承に関するご相談を承っております
いかがでしたでしょうか。
前述の通り、クリニックの継承前にリフォームを行うべきか否かは、現状や目的によっても異なります。
良かれと思って事前にリフォームを行うことで譲渡額が高額になってしまうなどの影響もあります。
こういったことからも、継承をお考えの際には、まずは専門家(コンサルタント)に相談しながら進めることをお薦めします。
弊社では、これまで600件以上のクリニックのご支援を行っており、様々なケースでのご支援実績がございます。
中立的な立場からクリニックの診断・譲渡額を査定させていただきます。
また、継承に関する個別相談も無料で承っておりますので、是非ご活用いただければ幸いです。
どちらも費用は一切かかりませんので、是非お気軽にお申し込みください。