クリニックの後継者、どうやって探すの?
昨今、クリニック院長の高齢化や後継者不在などにより、年間2,000件以上ものクリニックが閉院していると伝えられております。
それとともに、クリニックを第三者に引き継ぐことができる「第三者継承」の認知度が高まりつつあります。
今回は、「クリニックの後継者、どうやって探すの?」と題しまして、クリニックの後継者を探す方法やどのような仲介会社があるのかについて詳しく解説してまいります。
◆後継者の探し方
後継者を探す方法には以下のような手段があります。
①クリニックで一緒に働いている勤務医
まず、子や親族以外で跡継ぎを探す場合の有力な後継者候補は、現在クリニックで一緒に働いている勤務医の方です。
クリニックのことをよく知り、通院患者さんの顔もある程度見えているので、最初に声を掛けるケースも多いようです。
ただし、事前の取り決めがしっかりとなされていない場合には、後になってからトラブルに見舞われるリスクもゼロというわけではないので、きっちりと取り決めを行うことが重要です。
②身の回りの知人・後輩医師
一緒に働いている勤務医の方に継承の意思がない場合、医師会への相談や、ご自身の知人・友人・後輩医師を頼るという方法もあります。
しかし、知人だからこその金銭面での交渉の難しさや、急な破談、しっかりと契約を交わしていなかったことによる後々のトラブルなど、様々な懸念点もございます。
こちらも慎重に交渉を行うことが重要となります。
③クリニック継承を支援する業者に依頼する
クリニックの後継者をご自身の身の回りの方以外で探すには、「第三者継承(クリニックM&A)」という選択肢もあります。
この第三者継承で得られるメリットは多く、
・プロのコンサルタントに任せることができるので精神的負担が減る
・クリニックの後継者が見つかれば、閉院にかかるコストが不要となり、患者さんも引き継ぐことができる
・契約内容によってはスタッフの引き継ぎが叶う
・クリニックの譲渡益や営業権を得ることができ経済的なメリットも大きい など
閉院した場合やご自身で後継者をお探しになられる場合に比べると、院長先生の心の負担も軽くなることでしょう。
◆クリニック継承を支援する業者
次に、クリニックのM&Aを行う業者には一体どのようなところがあるのか、以下代表的な3つの業者について解説します。
①第三者継承(M&A)専門会社:
まず一般的なのは、弊社のように第三者継承(M&A)を専門とする会社です。
これらの会社の中には、主に譲渡側と譲受側の両方の間に立ち、第三者継承をまとめる「仲介業務」と、譲渡側と譲受側のどちらか一方の代理人として相手と交渉を行う「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)業務」の二つがあります。
ここで仲介とFAの違いを簡単に説明いたします。
仲介は、譲渡側・譲受側の間に立つため、双方の意向を確認しながら話を進めることになります。
譲渡契約が無事に成約するとその両者から報酬が支払われます。
ある意味では“双方代理”なので、中立的な立場で落とし所を探ることができ、第三者継承が成立しやすく、スピードも比較的早いのが特徴です。
一方、FAは譲渡側か譲受側、どちらか一方の代理となり、自分が代理する側の利益を最大化することに注力して動くこととなります。
互いの立場で交渉を行うため、時間がかかるというのがネックになると考えられます。
一般的には、上場企業やそれに準ずる大規模な会社のM&Aの場合はFAがよく使われますが、クリニックの第三者継承の場合は、前提として個人間での譲渡となること、さらには「地域医療を引き継ぐ」という社会的意義のある譲渡契約であることなどから「仲介」を選ぶのが適当であるといえるでしょう。
②サービスの一環としてクリニックの第三者継承を行う会社:
経営コンサルティング、金融機関、会計事務所などのサービスの一環としてクリニックの第三者継承を行っている場合もあります。
経営に関する課題解決力や財務などの得意分野があることは強みですが、医療業界のM&Aは、その専門性が重要視されます。
医療業界のM&Aをメインとしていないこれらの会社では、「対応できない」と断られてしまうケースや、時間がかかりすぎるなどの懸念があります。
③情報ブローカー:
最近増えてきているのが、個人でモノや情報を右から左にして商売を行っている「情報ブローカー」と呼ばれる業者です。
ブローカーは、「どこどこのクリニックが譲渡を考えている」、「だれだれが譲受を望んでいる」などの話を集めてきて、それぞれをマッチングさせることで紹介料を得ています。
医療関連企業の元営業マンであったり、病院の元職員、或いは士業の方が副業としていることが多いとされ、医療業界ではこの手のブローカーが増えているように見受けられます。
一概には言えませんが、医療業界は狭い世界ですので、情報が洩れて広がってしまいスタッフや患者様などに余計な心配をかけてしまうなど、準備の段階から様々なトラブルが発生してしまう可能性が考えられます。
◆クリニックの譲渡や継承に関するご相談を承っております
いかがでしたでしょうか。
多くの院長先生が引退に際してご懸念される、「患者」や「従業員・スタッフ」の問題、更には閉院にかかる費用や手間の問題を解決できる、と聞くと“閉院するくらいなら第三者継承も検討してみたい”と考えられる先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしながら、
「候補者をどのように探すのか?」
「お金の話をするのは気が引ける」など、円滑に進めていくには先生個人では難易度が高い方法であることもまた事実です。
数年前とは異なり、最近ではクリニックの第三者継承を仲介する弊社のような業者も増加し、無料相談ができる会社も増えております。
引退を検討される場合には、こうした専門家のアドバイスも受けながら進めていくことをお薦め致します。