◆クリニック継承トラブル事例◆〇〇を忘れていたことで、泥沼化!?

 

昨今、クリニック院長の高齢化や後継者不在などにより、年間2,000件以上ものクリニックが閉院していると伝えられております。
それとともに、クリニックを第三者に引き継ぐことができる「第三者継承」の認知度が高まりつつあります。

閉院にまつわる様々な課題を解決できるクリニックの第三者継承ですが、コンサルタントを介さずに、医師同士が個人間で直接交渉を進める場合や、一般企業のM&Aを本業行っているコンサルティング会社などの仲介業者が継承を進めた場合に、しばしばトラブルを耳にします。

今回は「◆クリニック継承トラブル事例◆〇〇を忘れていたことで、泥沼化!?」と題しまして、医療法人のクリニック継承に関する失敗談をご紹介いたします。

◆医療法人A理事長からB先生へのクリニック継承の失敗談

継承元:医療法人のA理事長
承継先:勤務医B先生

ご自身の年齢や体調面での不安から引退を決めた医療法人のA理事長は、30年以上に渡り経営してきた医療法人を継承してくれる後継者の先生を探すべく、友人の伝手で一般企業のM&Aをメインに行っている仲介会社C社にクリニック継承の仲介を依頼した。

C社の担当者はクリニック開業志望の勤務医B先生を紹介しました。
コンサルタント立会いのもと、A理事長はB先生と面談し、意気投合。
順調に継承の話が進んだのでした。

C社によるデューデリジェンス(買収監査)も完了し、法人の評価額を決めた後に無事に継承の話がまとまり、出資持分の譲渡及び医療法人の社員・役員の退任届と引き換えに、B先生が分割で譲渡額を支払っていくことに決定。
そして、実際に譲渡するタイミングで医療法人の役員と名称変更の手続きをしようとしたのですが、なんとこれが否認されてしまったのです。

さて、受理されなかった原因は何だったのでしょうか?
実は、継承元の理事長が医療法人を運営していた当時、毎年の事業報告書の提出と2年に1度の役員重任議事録を提出しておらず、今回の役員変更の前に、過去分をまとめて提出するよう指導されてしまったことが原因でした。
その結果、医療法人の名称変更ができず、用意した届出書類などは全て作り直しとなってしまったのです。

このトラブルを受け、事業計画の大幅な見直しを迫られることになった承継先のB先生は、A理事長に対して譲渡額の減額を求めました。

しかし、譲渡契約の内容には、契約不適合責任などについて詳細に取り決めがなく、責任区分が曖昧となってしまい、話は泥沼化してしまったのでした。

継承元のA理事長も、裁判を起こすまでの気力は無く、泣く泣く減額交渉に応じることに…。

◆クリニック継承や閉院に関するご相談を承っております

いかがでしょうか。
本事例はクリニック継承にまつわる失敗談のほんの一例ではありますが、このように事前の確認不足や契約内容が曖昧だったことにより、継承がスムーズ行えなくなるといったトラブルは少なくありません。

もし、仲介業者がクリニックの継承に精通していれば、このようなトラブルの種はデューデリジェンス(買収監査)の際に事前に見つけられるはずです。

譲渡契約の内容についても、本事例のようなケースの他にも医師が個人間で進めた話の場合は、ついつい詰めが甘くなってしまい、万が一トラブルが発生した際に、責任について話し合いが難航し、最悪の場合には継承の話自体が白紙になってしまうケースもあるのです。

弊社は株式会社日本医業総研と協業し、これまで600件以上のクリニックの継承や開業をご支援してきた実績がございます。
オンラインでの個別相談も無料で承っておりますので、是非お気軽にご相談ください。