医療法人の承継、繰越欠損金制度って??

医療法人のクリニックを承継する場合、前理事長には退職金が支給されるため、赤字状態で事業譲渡されることが一般的です。
本記事では、この赤字額を他の年度の所得から差し引くことで節税効果が期待できる「繰越欠損金制度」について解説してまいります。

◆繰越欠損金制度って?

まず「繰越欠損金制度」は一体どのような内容なのか、具体的に見ていきましょう。

医療法人に課税される法人税は、黒字の場合にかかります。
「繰越欠損金制度」は、簡単に言うと赤字額を他の年度の所得から差し引くことができ、税負担を抑えることができる制度です。
また、9年間(平成30年4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金は10年間まで繰越可能)に渡り利益と通算することができ、欠損金がゼロになるまでの利益を相殺することで実質納税が免除される仕組みです。

◆繰越欠損金制度が活用できるケース

例えば、毎期継続して5,000万円の経常利益をあげている医療法人を承継し、前院長には譲渡時に役員退職金として1億円を支給した場合、純資産額がマイナスの状態で引き継ぐことになります。
医療法人においては、こういったケースは決して珍しくもなく、患者様の引き継ぎをしっかりと行い経営基盤をそのまま引き継いでいれば特に大きな問題になることはありません。
これは、承継後も5,000万円の経常利益が見込まれており、金融機関の評価への影響も問題ないと考えられるためです。

繰越欠損金は事業を引き継ぐ側からすると大変メリットがありますが、あくまでも今後も継続して利益が出ることが前提ですので、休眠中で欠損金のある医療法人を法人格譲渡という形で承継する場合などでは注意が必要です。

◆クリニックの開業をご検討でしたら、お気軽にご相談下さい

いかがでしたでしょうか。
前述の通り「繰越欠損金制度」は、節税対策として大変有効な手段です。
しかし、本制度を利用する際には今後の所得を正確に予測することが必要不可欠です。
クリニック開業に関するご相談や承継案件の紹介依頼など、是非お気軽にお問合せください。