閉院前に知っておきたいクリニックの“テナント”のこと。
クリニックを閉院するとなった場合、閉院するためには患者様の紹介先を決めたり、医療機器を処分したり、テナントを現状回復したりと実に様々な“やるべきこと”があります。
そして、それらには閉院費用としての出費もつきものです。 今回はその閉院費用の中でも多くの割合を占める、「テナントの原状回復」について詳しく見ていきましょう。◆そもそも原状回復とは?
テナントの賃貸借契約書には、退去時の原状回復についての条件が記されています。
この「原状回復」は、元々の状態に戻すという意味があります。 事業用としてテナントを借りる場合は「契約当初の仕様に戻す」と定められていることが多く、住居として借りる場合とは原状回復の範囲も大きく異なってきます。 クリニックの場合も事業目的での賃貸契約になるので「事業用として造り込んだ範囲全てを契約当初の仕様に戻す」必要があります。 これは、スケルトン状態で借りた場合も、居ぬきで借りた場合も変わりません。 まず、入居者が設置していたデスクやカウンター、テーブル、増設したドアや仕切り、或いはスロープの設置等があった場合、これらの解体や撤去を行います。 場合によっては壁紙や床の張り替え、塗装、室内のクリーニング、電気や水回り設備の修繕まで行ない、入居する前の状態に戻します。 この解体から内装、クリーニング、修繕までの一連の工事を「原状回復」といいます。◆原状回復にかかる費用や相場って?
冒頭でも述べた通り、閉院の際に発生する費用の中でも、クリニックの原状回復にかかる費用は、閉院費用の中でも多くの割合を占めます。≪工事項目≫ ①撤去・解体工事 内装・造作物の解体工事を行い、クリニック内の装飾や設備などの造作物を撤去します。 ②修繕工事 解体工事が終わったら床や壁、天井などの残した部分、またはスケルトンになった部分の修繕が必要となった箇所を綺麗な状態にします。 構造体の修繕が必要な場合は、借主負担でそちらも行います。 ③設備工事 ビル付帯設備の基本は「電気」「ガス」「水道」です。 解体後の二次側電気に漏電などの不具合はないか、特にクリニックに多い、新設・移設された給排水・給湯設備等が正しく原状回復されているかは、ビルオーナーや次に入居するテナントにとっても重要なチェック事項であり、ビル新築時の設計図書の仕様に完全に戻すことが原則となります。≪費用・相場≫ 事業用テナントの原状回復費の相場は、 ・スケルトン戻しの場合:約5~10万円/坪 ・事務所仕様戻しの場合:約10~15万円/坪 が平均的ですが、ここ数年は資材や人件費の高騰等の社会背景もあり、年々施工単価は上昇傾向にあります。 また、オーナー様が業者を指定している場合もありますので、この点については事前に確認が必要です。 業者の指定がない場合は、対応範囲や費用を比較検討し、何社かの相場見積もりを取ることをお薦めします。
以下、原状回復(原状復帰工事)に必要となる主な工事項目・相場について解説してまいります。◆原状回復におけるトラブル例の紹介
原状回復を行う際の注意点として、よくあるトラブルをいくつか紹介させていただきます。
「解体してはいけない部分を解体してしまった。」 「必要な配線を切ってしまい、ほかのテナントに損害を与えてしまった。」 「対応範囲を確認していなかったため、別の業者に追加工事を発注しなければならなくなった。」 など、事前の確認不足などによる原状回復におけるトラブルの事例は様々です。 原状復帰工事を行う前には、まずテナントのオーナー様に原状回復の範囲をしっかりと確認しておく等、認識の相違を事前に回避しておくことが重要となります。◆クリニックの閉院や譲渡等に関するご相談を承ります
今回ご紹介したように、クリニックを閉院する際にはテナント原状回復費用などの不動産関連だけでなく、他にも様々な負担や費用が発生します。
弊社では、クリニック譲渡・第三者継承をサポートしており、閉院以外の選択肢を用意しておくことで、前に述べたような手間や費用を軽減できる可能性があります。
また、既に閉院を決めている場合のサポートも承ります。 引退に際して、何かお悩みがございましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。