クリニック職員の給与ってどうやって決めるの?
弊社がクリニックの継承や承継開業をご支援させて頂く中で、先生方から日々多くのご質問・ご相談をいただく機会がございますが、
その中でも多い内容の一つが「クリニック職員の給与基準」についてです。
今回は『クリニック職員の給与ってどう決めるの??』と題しまして、クリニックにおける職員の給与基準に焦点をあて、詳しく解説してまいります。
◆給与ってどうやって決めるの?
給与は通常、年齢や経験年数を元に算出する「基本給」部分と、資格手当や役職手当などの「手当類」などからなります。
基本給(年齢や経験年数を元に算出)+資格手当・役職手当など
◆“基準表”で柔軟性を確保
就業規則の中で給与表を規定した場合は、変更の際に煩雑な手続きが必要ですが、“給与決定基準表”という位置づけのものを作れば、ある程度の柔軟性を確保できます。
この給与決定基準表は、今後の定期的な支給額を決定するのではなく、採用の際に給与額を決める際の一つのベースになるという点が、通常の給与表との大きな違いです。
例えば、
基本給において、年齢が一つ上がると3,000円昇給する設定にしているとします。
ただ、あくまで採用の際の給与決定基準表ですから、経営状況によってはその基準表を改定して、2,500円の昇給にすることもできます。※職員に対する十分な説明が必要です。
◆経験を加味した“基準表”を
基準表では、年齢、経験年数、正看護師の資格保有者などにわけた基準を策定することもできます。
基本給は、採用時の年齢を基に決定する「年齢給」と、過去における経験年数を基に算出する「経験給」を合算したものとして設計するのです。
例えば、
経験年数5年の方が、30歳時点で入職したとします。仮に30歳の年齢給が10万円、5年の経験給が10万円の設計にしてあれば、基本給はその合計の20万円となります。
もし年齢をより重視したいのなら、経験給より年齢給のウエートを高めてもいいでしょう。
■給与決定基準表の例
既存の職員の年齢や経験年数などを勘案して微調整を行っていけば、給与決定基準表ができあがります。
微調整が難しいときは、調整給のような手当を設け、基準表の金額と現在の給与との差額を補填するというやり方もあります。
なお、“基準表”という位置づけではありますが、年齢給や経験給の昇給は、できるだけ基準表に沿って行う方が好ましいのは言うまでもありません。
実際の額が基準表の額とあまりに違えば、新たに入職する職員と既存職員の給与バランスが崩れてしまうことになります。
◆給与基準表を作成する際の3つのポイント
1.給与表のデメリットに注意
給与表があれば給与額の決定も用意で職員の安心感も増すが、定期昇給が経営の圧迫要因になる場合もある
2.“基準表”なら柔軟性を確保できる
“給与決定基準表”とし、入職時に支給する額の一つのベースとして位置づければ、運用の柔軟性をある程度確保できる
3.経験は基本給で、資格は手当で評価
基本給では、一般的には、年齢と職務経験を評価する。経験を重視するなら経験給の比重を高める。看護師などの取得資格は手当で評価を
◆クリニックの運営や引退に関するご相談を承っております
いかがでしたでしょうか。
医師として専門的な知識をもっていても、「給与基準などについては感覚的に考えていた」という先生も珍しくないのではないでしょうか。
開業医としてクリニックを円滑に運営していくためには、クリニックの運営費の大部分を占めるスタッフの人件費について正しく理解し、基準を明確に決めておくことも重要となります。
弊社では、グループ内に税理士法人や社労士法人を有するクリニック経営に特化したコンサルティングファームである日本医業総研と協業し、クリニックの運営や引退(閉院準備、第三者継承、親子間継承など)などに関するサポートを行っております。
何か気掛かり事やお悩みなどがございましたら、是非お気軽にお問い合わせください。