職員同士での飲み会でも注意が必要??
12月の忘年会、1月の新年会、春にかけては歓送迎会やお花見など、クリニック外での食事や懇親会の機会も多い時期なのではないでしょうか。
職員同士の飲み会の場で万が一ハラスメントがあった場合、院長ご自身は参加していなくても、事業主としての対応義務を求められるといった事例もあります。
今回は『職員同士での飲み会でも注意が必要??』と題しまして、こういった職場でのハラスメントの問題が発生してしまう前に事前にできる対応策等について、詳しく解説してまいります。
職場のセクハラに関する3つのポイント
1.職場以外で発生しても事業主に対応義務
通常就業している場所以外であっても、業務遂行の場は職場。ほとんどの職員が参加する飲み会も職場の延長とみなすのが自然
2.被害者と加害者の双方から事情を聞く
虚偽や大げさな申告の可能性もあるため、双方から事情を聞く必要がある。その際、聴取は同性が行うよう配慮する
3.セクハラとパワハラを相談する窓口を明示
通報窓口(担当者)を女性と男性でそれぞれ決めて明示。いつでも通報できることをアピールしておけば、抑止力にもなる
以下、これら3つのポイントを踏まえながら細かく解説していきます。
職場以外でも対応の義務
例えば飲み会の場でハラスメントが起こったとします、この場合は職場以外になるのでしょうか?
こちらは厚生労働省の「事業主が職場における性的な発言に起因する問題に対して雇用管理上、講ずるべき措置についての指針(厚生労働省告示第314号、最終改正2016年8月2日)」において、通常就業している場所以外であっても、業務を遂行する場所は職場と扱われます。飲み会とはいえ、複数名の職員が参加しているという実態を考えると、職場の延長とみなすのが自然です。
そのため、対応策としてはまず被害を受けた方から状況を聞く必要があります。話を聞く際に注意してほしいのが、余計なことまで聞かないということです。興味本位の質問が被害者をさらに傷つけてしまうことがあります。女性職員の被害については、女性が聞いてあげるといいでしょう。
双方からの聞き取りによって事実関係を確認できたら、加害者に対しての懲戒処分や今後の対策を検討する必要があります。
セクハラ問題は表に出るものだけを見ても非常に多くなっています。最近は労基署の上部組織である都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)という専門部署がセクハラについて啓発したり、事業所に是正指導したりするようになりました。
実際にセクハラ問題が生じると、事業主がこの部署から厳しい指導を受けることになります。
ハラスメントの相談窓口を明示する
「昔はよくあった」と放置していたいたりすれば、訴えられることも想定されます。
最近の判例をひもとくと、「職場環境配慮義務」というキーワードをよく目にします。要するに「働きにくい職場環境を放置していてはだめですよ」ということで、この義務を果たしていないとして、損害賠償請求の対象になることがあります。(パワハラの事例でもよく見られるパターンです)
また、労働契約法第5条も、労働者の安全への配慮というものを求めており、セクハラを理由に被害者がメンタルヘルス不全になってしまうと、いわゆる安全配慮義務違反を問われることもあります。
職員には今後も安心して働いてもらえるように、相談窓口を設置し明示しておくとよいでしょう。通報窓口があることでセクハラへの抑止力にもなります。
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いかがでしたでしょうか。
本記事でも取り上げた通り、受け取る側の気持ちも考慮し職員との会話や接し方など飲み会前に改めて考え直してもいいのかもしれません。
また、最近では「先生の要求スキルが高い」「患者の聞こえるところで怒鳴る」などもパワハラとみなされるケースがあるようです。
このように一昔前までは、指導と前向きに捉えられていたケースであっても、随分と認識が様変わりしているので、気を付けた方がいいのかもしれません。
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