クリニックの継承先、 “4人に1人は親族外で検討している”ってホント!?

昨今、クリニック院長の高齢化や後継者不在などにより、多くのクリニックが閉院している状況と伝えられております。
そのような背景から、最近ではクリニックを第三者に引き継ぐことができる「第三者継承」が注目されています。

今回は、『クリニックの継承先、“4人に1人は親族外で検討している”ってホント!?』と題しまして、今年2月にMedical Tribune ウェブの開業医会員の方を対象に実施したアンケートの結果をもとに、ご勇退に際しての優先事項や継承の課題について考察してまいります。

昨今の背景

今年(2024)年3月に厚生労働省が発表した「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、病院及び診療所の開設者・代表者の平均年齢はそれぞれ64.9歳、62.5歳。2002年の同調査結果(各61.8歳、59.5歳)と比べ、高齢化が進む実態が明らかになりました。また、帝国データバンクの「全国『後継者不在率』動向調査(2023年)」によると医療業の後継者不在率は65.3%と高く、開業医の高齢化と後継者不在を理由に閉院を余儀なくされるケースは増加していると考えられます。

過半数の開業医が、ご勇退予定は“70歳以上”と回答

今回、Medical Tribune ウェブが実施した調査は、開業医の会員を対象にしており、338人〔平均年齢52.1歳(範囲25~81歳)〕から有効回答を得ることができました。
開業からの経過年数を尋ねたところ、最も多かったのが「10年以上20年未満」で34.3%、「20年以上30年未満」が32.2%、「10年未満」が21.6%、継承ニーズが高まる「30年以上」が11.8%となりました。
また、ご勇退予定については、「70歳以上75歳未満」が34.3%、「75歳以上」が32.8%と70歳以上で過半数を占め、「65歳以上70歳未満」は23.1%、「65歳未満」は9.8%という結果でした。

 図1.勇退時の意向(複数回答可)

さらに、ご勇退時の意向について伺ったところ(図1)「親族間継承」が44.1%、「閉院」が32.2%、「第三者継承」が23.7%という結果で、4人に1人が親族外(第三者)への継承を検討されていることが分かりました。

引退時の懸念点は…

図2.継承や閉院を検討される際の懸念点(回答から3つ選択)

次に、クリニックの継承や閉院を検討される際の懸念点についてのアンケート結果(図2)を見ていくと、「承継時のトラブル(譲渡条件、経営状況、診療方針の違い、既存スタッフとの相性など)」が24.6%、「承継費用」が24.3%、「医療機器や建物の活用・老朽化」、「適切な後継者が見つからない」が各22.5%、「承継の契約や法的手続きが難しい」が22.2%となり、クリニックの継承に関する不安やお悩みが大半を占めていることが分かりました。

最後に、医院を継承する際に後継者へ求めることについても伺ったところ、「地域医療に貢献してくれる」が32.8%、「スタッフと円滑なコミュニケーションが取れる」が32.5%、「患者さんに寄り添ってくれる」が26.0%という結果になり、ご自身が長年築き上げてこられた地域医療の維持については勿論ですが、患者さんやスタッフのフォローを望まれる声も大変多くあがりました。
一方で「自分と血縁関係があること」は10.9%、「高い技術や経験」は9.2%、「年齢が若いこと」は3.8%と低く、やはりクリニック継承においては“地域医療の存続”に重きを置いてご検討されているケースが多いことが伺えます。

クリニックの閉院・継承に関するご相談を承っております

いかがでしたでしょうか。
継承や閉院を検討される際の懸念点についてのアンケートでもあったように、クリニックの継承は親族内・親族外(第三者)を問わず、時間や労力がかかり、手続きも煩雑です。
さらに、継承後のトラブルを未然に防ぐための対策も重要となります。
そういった理由から、クリニック継承は親族内・親族外のいずれの場合であっても、プロの仲介業者に相談をしながら、慎重に進めていくことをお薦め致します。

弊社では、引退(親族間継承、第三者継承、閉院準備など)に関する無料の個別相談を承っております。
引退に際しての気掛かり事がございましたら、お気軽にご相談ください。