アンケート結果から見えた昨今の開業トレンド

Medical Tribune ウェブでは、2024年2月に【キャリア意向に関する調査】と題し、医師会員を対象にアンケートを実施致しました。
今回は、開業を検討している医師会員の方々のご意向やお悩みに関する調査結果を基に、クリニックの第三者継承の今後について考察してまいります。

■開業に向けての気がかりごと

図1のグラフは、開業を検討する際の心配事についてのアンケート結果をまとめたものです。
結果は「スタッフの確保(24%)」が最も多く、次いで「初期費用や収支バランス(19%)」、「診療圏内の競合施設や患者数(13%)」の順に多くなりました。

超高齢社会を迎え、人口減少が続く昨今の日本では「人手不足」が深刻な問題となっており、継承支援を行う中でも、看護師やスタッフの採用に難儀しているという話を耳にする機会が多くなっております。
こうした背景もあり、「スタッフの確保」といった人材面での課題が開業前からの不安材料になっているのではないかと考えられます。

また、第2位に「初期費用や収支バランス」が挙げられているように、開業資金や開業後の収支といった経営面での不安も根強いものとなっています。
例として「内科・テナント」で新規開業を行うのケースでは、運転資金を含め6,000万~8,000万円が一定の目安となりますが、特に都市部においてはクリニックが乱立し、飽和状態に近い状況にあることから、開業後に経営を軌道に乗せていき投資分を回収できるのか?ということについては大きな不安を感じるのも無理はありません。
専門性が高い診療科目であれば、ある程度の差別化により、すみ分けが可能かもしれませんが、競争が激化すれば優位性の維持には限界があり、一筋縄ではいかないのが昨今の開業をめぐる環境のようです。

■承継開業はニュースタンダード足りえるか

次に開業方法についてのアンケート結果を見ていきます。
図2は承継開業の認知状況を尋ねたものです。
「承継開業について知っている」との回答は全体の8割超を占め、さらに約7割が承継開業を前向きにご検討されていることが示されました。
承継開業は既にその地域で実績を重ねているクリニックを引き継ぐ方法ですが、しっかりと運営の仕組みが整っている状態で引き継げる点や初年度から黒字経営も期待できるといった点は、新規開業にはない大きなメリットといえるでしょう。

今回の結果から、昨今では、開業時のさまざまな課題の解決方法の1つとして承継開業を視野に入れておられる方が増えていること、さらには新規開業と承継開業を平行して検討するスタイルがスタンダートな考え方として定着しつつあることが伺われます。

一方で、承継開業にも課題はあり、「自身の診療スタイルや希望にかなうクリニックの探索」や「適正な条件の見極め」、「条件交渉・譲渡契約」などをトラブルなく行っていくことは医師個人では決して容易なことではありません。
そういった課題も踏まえると、承継開業をご検討される際には、弊社のようなクリニックの承継を専門に扱っている仲介業者のサポートを受けながら、慎重に話を進めていくことをお薦め致します。

■クリニックの開業や運営に関するご相談を承っております

いかがでしたでしょうか。
今回のアンケートでも示されたように、医療業界での人材不足も大きな課題となっております。
さらに、都市部においてはクリニックが飽和状態にあり、「開業向けの物件自体が中々見つからない」という話も珍しい話ではありません。
このような背景も踏まえ、開業をお考えの先生方の多くが、新規開業と比べてさまざまなメリットのある「承継開業」も並行してご検討なさるケースが増えてきております。

弊社では、グループ内に税理士法人や社労士法人を有するクリニック経営に特化したコンサルティングファームとも協業し、クリニックの新規開業や承継開業などに関するサポートを行っております。
ご関心がございましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。