クリニックの中堅スタッフを定着させる3つのポイント!
超高齢社会を迎え人口減少が続く日本では「人手不足」が大きな問題となっており、これは一般企業だけでなくクリニックなどの医療業界においても同様で、看護師やスタッフの採用に難儀しているというお話をよく耳にします。
今回は、「クリニックの中堅スタッフを定着させる3つのポイント!」と題しまして、クリニックの中堅スタッフの離職を防止するための対策について解説してまいります。
M整形外科クリニックの事例
M整形外科クリニックのM院長は、入職して3~5年程で退職してしまうスタッフが多いことに悩んでいます。
最初のうちは、スタッフの入れ替わりがあれば職場の風通しも良くなり、患者さんとしてもフレッシュなスタッフの方が来院する気になるのではないかと思い込んでいました。
また、ベテランスタッフよりも給料が安い若いスタッフが多い方が、人件費も抑えられるとポジティブに考えていたようです。
以前は、スタッフが退職しても募集をかければ苦労せずに代わりのスタッフをすぐに確保できていたこともあり、退職の申し出があっても特に引き留めることなく了承していました。
しかし、最近ではスタッフを募集しても応募がなかなか来ず採用に難航しており、つい先日も5年以上勤めていたベテランの事務員や看護師が立て続けに退職してしまい、困り果てています。
今になって考えれば、スタッフを大切にしていなかったと反省している様子のM院長。
現在の院内組織は、経験の浅いスタッフばかりで構成されており、指導者が育たず、M院長が同じような注意や指導を繰り返すことになっています…。
さて、何か良い対策はあるのでしょうか…?
福利厚生を充実させる
まず、本事例のように、勤続3~5年程での退職が続いているという場合には、風土を変えることが重要です。
そのためには、長期勤続を奨励することを院長自身が明確に示す必要があります。
実際に長年勤務しているスタッフを評価する仕組みをつくるとよいでしょう。
以下、具体的な方法について見ていきましょう。
一つ目は、通常の定期昇給とは別に勤務手当をつけるなど金銭面での待遇を改善する方法です。
5年以上勤めてもらうことを推奨するのであれば、勤続5年以降は手当を支給し、1年毎に手当が増加していく設計が良いでしょう。
上限の年数や金額の設定は個々の院長の判断になりますが、目安として勤続5年で1,500円、6年で3,000円、7年で4,500円と1,500円ずつアップするでけでも十分モチベーションの維持・向上につながるのではないでしょうか。
二つ目は、勤続5年以上のスタッフには福利厚生の内容を充実させるといった方法です。
例えば、「リフレッシュ休暇」の導入などがあります。
同じ職場で長年働いていると「今のままでいいのだろうか?」と退職を意識する瞬間もあるでしょう。
そういった気分を一度リフレッシュしてもらう意味でも、通常の年次有給休暇とは別に、連続して休暇を取得できるようにします。
法律上、勤続年数などに制限はないので付与のタイミングや日数は院長が自由に決定できます。
三つ目は、勤続5年毎に一時金を支給する方法です。
既に医療機関や介護事業者では「永年勤続表彰」という形で似たような制度を導入しているケースがあります。
表彰にあたっては手渡しで現金を支給すると、ありがたみも感じてもらいやすく、モチベーションにもつながるのではないでしょうか。
これら三つの方法はあくまでも一例にすぎません。
スタッフを長く勤めてもらう方向に誘導するためには、永年勤続者へのインセンティブをより魅力的な内容にしていく配慮が大切です。
リーダーや主任といった役職を与える
過去の記事でも紹介しましたが、中堅スタッフにリーダーや主任といった肩書を付けて仕事を任せるというのも一つです。
たとえ小規模な組織であっても、リーダーや主任といった肩書を付けて仕事を任せると、張り切って取り組んでくれるスタッフは少なくありません。
もちろん肩書だけでなく「物品の購入は1カ月に1万円未満であれば院長に確認せずに決済できるようにする」等、ある程度の権限を与えるというのも重要です。
技術や能力は重視すべき?
看護師の採用とは異なり事務スタッフを採用する際には、技術や能力については特段重視する必要はないと考えます。
確かに、これまでに電子カルテやレセコンの使用経験があることは強みではありますが、これらのスキルは入職後の研修でしっかりと身につけることができます。
面接では、基本的なパソコン操作ができるのかという確認を行っておけば十分ではないでしょうか。
多少の人件費増は許容する
長期勤続者が増えることで人件費が膨らんでいき経営を圧迫するのではないか?と心配される方も多いでしょう。
考え方次第ですが、医療機関の経営は人がいてこそ成り立ちます。
人材こそが最も重要と捉えて、人件費がある程度増加することはやむを得ないと割り切った方が良いでしょう。
一方で、すべてのスタッフの給与水準が勤続年数に応じて青天井に上がり続けるとなると確かに経営的に厳しくなってしまうでしょう。
ですので、個々の能力や役割のレベルに応じて年収の目安というのを決めておき、無制限に年収などが上がらないように管理することは必要です。
医療機関は診療報酬の改定の影響などでも収益が左右されます。
今後の医療制度の変化にも柔軟に対応しつつ、賞与を人件費コントロールの調整弁と考えて変動させていくのも一つの手かもしれません。
一方で、上記のような取り組みを通してスタッフのモチベーションアップが実現し、パフォーマンスの向上や患者増に繋がればクリニックの収益が上がる可能性もあります。
実際の収益の変化を見極めて給与体系の見直しを検討するのがよいでしょう。
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いかがでしたでしょうか。
クリニックの中堅スタッフを定着させるためには、以下3つのポイントが重要となります。
1.福利厚生の充実やインセンティブを検討する
勤続手当やリフレッシュ休暇の付与など、永年勤続者の待遇改善を行うのも一つです。
まずは院長自身が積極的に「長期勤続を推奨している」という姿勢を発信していきましょう。
2.モチベーションUPのために役職や権限を与える
リーダーや主任といった肩書を与え、一定の権限を持たせることで仕事の意欲向上につなげていきましょう。
3.ある程度の人件費の増加は許容する
長期勤続者が増えていくと、その分人件費は増加します。
しかし、医療機関の経営の要はスタッフです。
ある程度の人件費の増加は割り切って考え、その分の収益UPを目指しましょう。
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