開業医の老後資金問題

■閉院・廃院におけるデメリットとは

以前にもお伝えしましたが、閉院の際には、様々な手間や金銭的コスト、社会的なコストが発生します。

建物がテナントであれば現状回復工事が必要になります。これは、内装を入居当初の引き渡し状態に戻すことを指しますが、坪単価5~15万円の工事費を要します。

自己所有の不動産であっても、閉院後の活用方法がなければ固定資産税などの維持コストだけがかかり続けますし、クリニックのまま放置していたのでは、幅広い業種からテナントを誘致することもできません。

また、閉院・廃院することで、一部の患者が医療難民化することも想定されます。近隣に病院・クリニックがない場合、患者は診療をしてもらうために、より遠方へ足を運ばなければなりません。

参考:《閉院時に発生するコスト》

■経済的な損益では引退後の生活に大きな差が

仮にテナントのクリニックが閉院した場合、閉院する際のコストを1,000万としたとき、閉院時の経済的な損失は1,000万になるのでしょうか。

機会損失を勘案した場合、経済的な損失額は大きく膨れ上がります。

※機会損失額という考え方は、最大の利益を得られる選択をしなかった場合に得られなかった利益額を含めた損失額を指します。

以下の図では、1,500万円で譲渡できた場合と閉院した場合の差額を表しています。

機会損失額を考えると損失額は1,000万円ではなく、2,500万円となるのです。

参考:《第三者継承と閉院の損益額比較》

■開業医の老後資金問題と第三者承継

給与所得者の勤務医と違い、個人で経営している先生の場合には税制面の優遇措置が受けられる退職金がありません。

さらに年金についても公的年金のいわゆる“2階建て部分”であった厚生年金がなくなり、“1階部分”である国民年金のみとなってしまいます。

遺族年金や障害年金についても厚生年金加入者ほどの手厚さが無くなります。

小規模企業共済や医師年金などの対策をとっている先生も多いと思われますが、リタイア後も現役医師と同じ水準の生活を保とうとするには不十分です。

開業医は、きちんとした老後資金の設計をしておくことが必要となります。

閉院時のコストがなくなり、譲渡による対価を得られる第三者継承は、そんな老後資金設計の一助となりますが、後継者が見つかり継承完了するまでは、1~2年程度の期間を見ておく必要があります。(地方のクリニックの場合は3~5年)

■閉院すべきか。継承すべきか。悩む前に専門家へ相談を

ただでさえ多忙な先生がお一人で第三者の後継者を探すのは容易ではありません。広く募集しようとお金をかけて医療関連雑誌等に広告を出したりするのでは、本末転倒です。また、実際に後継者を探す際には、引退することが周囲に広まらないようにする必要があるという点が大きな課題となります。

メディカルトリビューンでは日本医業総研との協業で、クリニック継承のご支援をさせていただいておりますが、実際に後継者を探し始める前に、まずは先生のお気持ちやお考えを拝聴し、閉院すべきか継承すべきか、フラットに第三者目線から先生にとってベストな選択をご提案させていただきます。

ご相談はすべて無料で承っておりますので、お悩みでしたらまずはご相談ください。経験豊富な弊社スタッフが先生のご意向をうかがわせていただきます。