後継者がいない場合どうすればいいですか?

■医療機関のM&A(第三者継承)の基本をおさらい

身内に後継者がいない場合、これまでは院長先生の引退とともにクリニックを閉めるケースがほとんどでした。

しかし、最近は第三者にクリニックを譲渡する「第三者継承(M&A)」という選択をするケースが増えてきました。

譲る側のメリットとしては、

  1. その地域の患者さんを託すことができる
  2. 現職員の継続雇用が可能になる(院長の都合に他者を巻き込まない)
  3. 閉院に伴う施設・設備の処理など一定の資金を要する煩雑な作業が少なくなる
  4. 営業権を評価できる場合もあり、まとまった老後資金が得られ、リタイアメントライフの幅が広がる

などがあげられます。

■クリニックを譲り受ける(買う)側のメリットを考える

譲り受ける側にとっての最大のメリットは、何といっても「時間をお金で買える」、つまり、経営が軌道に乗るまでの時間が短縮できることにあります。

病院勤務を希望する医師であっても、タスクシフティングが進まない長時間労働、希望する病院でのポストの不足、年々増加する医療訴訟へのリスクなどから、外科の専門医が一定期間内科を学んで開業を考えるケースも増えてきています。

しかし、新規開業をしても、経営を軌道に乗せることは容易ではありません。

また、医療法人での経営を望まれる方でも、原則として開業から数年は個人開業とし、実績を積んでから医療法人化するプロセスを踏まなければなりません。

その点、承継開業には、個人法人問わず、

  1. 新規開業に比べ低コストでの開業が可能
  2. 金融機関からの資金調達が比較的容易
  3. 医師会入会のハードルが低い
  4. 開業準備期間が短縮できる

などの開業側のメリットがあります。 また、承継後においても、

  1. 患者を引き継ぐことで、初月からの黒字経営が可能
  2. 地域に精通し、診療にも慣れた職員を継続雇用することができる
  3. 医療法人の場合、前理事長への相応の退職金を支払うことで、税法上の繰越欠損を引き継げる場合がある

など様々な利点を享受できます。

《参考》新規開業と承継開業の比較例

このようなことから、買い手が見つかり、順調に交渉が進めば、売る側・買う側双方にとってメリットの大きい方法であることが分かります。

今後ますます「第三者継承(M&A)」という開業形態が増えることは間違いありません。 承継開業は患者さんの不便を避け、地域医療サービスの安定供給に大いに貢献することになるでしょう。

■個別のご相談はもちろんサービス案内資料の郵送など無料で承ります

クリニックは法人・個人問わず、公益性の高い事業の為、後継者を見つけ地域医療を存続させるという第三者継承は社会的な意義も大きいです。

メディカルトリビューンが提携する日本医業総研は、グループに医業に特化した税理士法人を有するため、継承のご相談や後継者探しだけではなく、税務・会計面でのご支援も可能です。

個別のご相談や、サービス案内の資料請求など無料で承っておりますので、お気軽にお問合せください。