医院継承の選択肢
■選択肢① 親子間継承
親族に医師がいる場合、子供(親族)への継承は第一の選択肢になります。
親族に医師がいる場合は、なるべく早めに本人に意思を確認した方が良いでしょう。
なぜかというと親は将来子供が継ぐものだと思いこんでいて、実際子供はクリニックを継承する意思がなかった場合、そのまま後継者を見つけることができず、廃院せざるを得ないという状況が起こり得ます。
そうした不本意な休診や廃院をしないためにも、子供には早めに継承する意思の有無を確認しておくことが大事です。
■選択肢② 勤務医(従業員)への継承
親族に医師がいない、あるいは子供に継ぐ意思がない場合、次の選択肢となるのが勤務医への継承です。
非常勤の医師を従業員として雇用している場合、その医師に継承を打診してみるという方法もあります。
しかし従業員への継承はなかなか難しいのが実状です。
なぜかというと厚労省のデータによれば、全国のクリニックのうち約8割が医師一人体制で診療を行っており、そもそも後継者候補となる医師がいないクリニックが大半を占めます。
一般企業の場合、親族に後継者がいない場合、役員や従業員へ継承するケースもありますが、クリニックの場合はこうした特有の事情により、従業員への継承は難しいのが現状です。
■選択肢③ 第三者への継承
身内に後継者がいない場合、身内以外の第三者に医院を譲渡し、クリニックを存続させる第三者継承という選択肢が近年増えてきております。
中小企業白書によれば、2007年以降、内部昇格と外部招聘を合わせた「第三者継承」に「買収」(M&A)を加えた割合は、「親族内継承」を上回っているというデータがあります。
親の事業を継ぐのが当たり前だったのはすでに昔の話であり、クリニックも例外ではありません。
その他、医師後継者が不在であったり後継者がいる場合でも、医師確保や経営不振などで事業継続が難しいために、経営的に体力のある他の医療法人の傘下に入るようなケースも見られます。
承継してもらうことで、地域の医療や従業員の雇用などを守ることができます。
こういったメリットがあるため、第三者継承に至るケースが徐々に増え始めています。
すでに引退に向け、休診日を増やしていたり、全盛期に比べ売上が落ちている場合でも後継者探しは可能ですが、多くの場合、医療機関で勤務している医師が後継者候補となるため、良い条件で医院を譲渡するには、なるべく早い段階で準備することが必要です。
●閉院・継承のお悩みは専門家へのご相談を●
このように、クリニックの分野においても第三者継承は一般的になりつつありますが、院長先生個人で後継者探しをすすめるのは難しいといわざるを得ません。
譲渡するクリニックが個人立なのか医療法人立なのか。後継者が個人なのか医療法人なのか。贈与や譲渡、賃貸といった継承の形態によっても、手続きや会計上の処理は大きく異なります。
クリニックの規模や形態、診療科目、診療方針、経営状況、診療圏の市場規模・地域特性等は一様ではありません。それらを分析・評価した上で適正な継承条件を設定し、継承先の希望条件と擦り合わせるわけですから、事業継承は事案ごとのオーダーメイドとなります。
同じ条件下での継承事案はほぼ皆無といって良く、「○○の継承の場合は、○○のようにすること がベスト」という決まったセオリーもありません。
クリニックの継承を検討される際は、ぜひ専門家へのご相談をお勧めいたします。
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メディカルトリビューンでは、新規開業やクリニック継承、税務・会計面で550件以上の支援実績を持つ日本医業総研様と提携し、これまで地域医療に貢献してこられた開業医の先生方の豊かなリタイアメントライフを実現するご支援をさせていただいております。
将来に備え事前に情報収集しておきたいといった観点でも構いませんので、一度お気軽にご相談をいただけますと幸いです。