クリニック継承の落とし穴。専任契約という言葉には要注意
クリニック継承にはM&Aに用いられる専門的な用語も多く、難しそうでなかなか重い腰があがらない…、という先生もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は第三者への医院継承をコンサルティング会社に相談する際のポイントの一つとして、「専任契約/非専任契約」についてご紹介していきます。
■専任契約とは?そのメリットとデメリットについて
クリニックの後継者探しを仲介会社へ依頼する場合、「秘密保持契約」と業務委託契約の一種である「アドバイザリー契約」の2つを最初に結び、後継者探しをスタートします。
「アドバイザリー契約」においては、大きく専任・非専任と契約形態が分かれますが、それぞれメリット・デメリットが存在します。
【専任契約】不動産の売買などで多く用いられる契約形態で、特定の仲介会社1社だけに後継者探しを依頼する契約です。他の仲介会社には依頼することができなくなります(多くの場合違約金が発生)。
メリット:
後継者が見つかれば確実に自社の成約実績となる為、営業担当が優先的に取り組む可能性が高い。
デメリット:
契約した仲介業者の力量に継承の成否が依存してしまう(十分な後継者募集の手段やノウハウが無い場合、失敗に終わるリスクが大きい)。
契約した業者以外にも依頼・相談が可能な契約形態です
メリット:
複数の事業者に依頼することで情報が集まりやすく、よりよい後継者候補と出会える可能性が高まる。
デメリット:
非専任契約の案件よりも専任契約案件の後継者探しを優先されてしまうことがある。
また、複数の業者に依頼した場合は、情報漏洩リスクが高まる。
■気を付けておくべき悪質なケース
前述のとおり、専任契約は仲介業者にとってはライバルを排除できるため、専任契約を締結しようと悪質な手段を取る業者も残念ながら存在します。
以下のようなケースには特に注意した方がよいでしょう。
①専任契約前に「高額な譲渡額」を提示する
売り手となる院長先生にとって、単純な金額の多寡以上に、自身が築き上げてきたクリニックが高く評価されたということはとても嬉しいことです。
しかしながら、忘れがちなのが、クリニック継承は買い手が納得して初めて成り立つという点です。
きちんとした評価手順を踏まず、評価もせずに買い手がつく譲渡額を提示できるわけがありません。
このように相場とかけ離れた「見せ値」で専任契約を獲得した業者は、
少し期間をあけて「譲渡額を下げて幅広く買い手を探しましょう」と提案してきます。
もちろん、きちんとした評価の上で適正価格を設定したが、相手がみつからず譲渡額を下げて募集する、という提案は問題ないのですが、もっとも注意すべきは、契約前に高額すぎる譲渡額を提案し、専任契約を結んだ後、大きく額を引き下げるというケースです。
②契約内容が自動更新になっていたり、更新料がかかる
もう一つ、注意すべきケースとして挙げられるのが、その専任契約が自動更新になっている、更新料がかかるといった内容になっている場合です。
もちろん、それで後継者が見つかればよいのですが、仲介会社側視点でみると、放っておいても家賃収入が入ってくるとも言えます。
特に地方立地で後継者探しの難易度が高いクリニックの場合は注意が必要です。
ひどいケースでは、積極的に候補者を探さず、のらりくらりと話を躱して塩漬けにし、更新料だけせしめる、そのことに気づいて他の業者に変えようとするも専任契約の縛り(多くの場合違約金の支払いが生じる)があるため相談できず、気づいたときには閉院せざるを得なくなる…、
こういったケースです。
不動産仲介や一般企業のM&Aにおいては、専任契約は多く見られますが、
クリニック継承においては、買い手が医師に限られる為、専任契約のメリットが活かされづらいのが現状です。
専任契約を提案された場合は、契約内容についてしっかりと確認する必要があると言えるでしょう。
◆譲渡額の査定や閉院・継承のお悩みは専門家へのご相談を
弊社の場合、特別な事情がない限りすべて「非専任契約」として、アドバイザリー契約を結ばせていただき、譲渡額についても適切な評価を行った上でのご提示とさせていただいております。
また、先生がご相談しやすいよう、完全成功報酬制をとらせていただいており、M&A仲介会社にありがちな、相談料や手付金などは一切いただいておりません。
まずはお気軽にご相談ください。