なぜ子供への継承が難しくなったのか?

弊社へクリニック継承のお問合せをいただいた後、ご訪問やオンラインでの面談等で、初めてお会いする際に必ずお伺いしているのが、
「ご親族に見込みのある後継者の方はいらっしゃいますか?」という質問です。

先生の中には、「継承支援のサービスに問い合わせているのだから、他に当てがないからじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
実際のところ、半数以上の先生から「子供は医者です」というお返事をいただきます。
中には3人子供がいて3人とも医者というケースもございましたが、
それでも第三者継承のお問合せをいただく以上、親族への継承が難しい時代になったということを痛感します。

それでは、なぜ親族間での継承が難しくなってしまったのでしょうか?
今回はご子息側の事情を掘り下げる形で考察してみようと思います。

■医師としてのキャリアやライフイベントと重なるタイミング

ご勇退を考えられている先生の多くは60~70代ですので、そのご子息の多くは、30~40代がほとんどであると考えられます。

この30~40代というのは、医師のキャリアを考えると、ちょうど目指すべき専門性が定まってきた頃合いとバッティングしています。
このような時期は、病院で最先端の医療を追求したいという気持ちを持っていたり、勤務医として重要なポストを任されるようになり責任感で辞められない状況にある場合も多いでしょう。

一方、プライベートに目を向けると、晩婚化が叫ばれて久しくはありますが、結婚や出産などライフイベントが起こる時期とも重なります。
家族で過ごす拠点としてマイホームを購入する人が増えるのもこの時期です。

つまり、おいそれとご自身の意思だけでは、仕事を選択できない状況にあると言えるのです。

自身がやりたい仕事をすること、子供の将来を考えること、家族との時間をできる限り長くとること…それら全てに優先順位をつけ、妥協点を探るのは容易なことではありません。

また、医師という特殊な職業の立場であれば、親が開業医、子供が勤務医と、どちらも多忙な身であることは珍しくないでしょう。
中々腰をすえて話合う機会を持つということも難しく、親子のコミュニケーションは年に一度、正月に顔を見せに帰るだけということも往々にしてありえます。

仮にそのタイミングで「そろそろ後を継いでほしい」「前向きに考えておくよ」という会話があったとしても、果たして本当にその口約束だけで実際にクリニックを引き継いでくれるでしょうか?

■万が一に備え、第三者継承の道も考えておく

クリニックの9割近くが、後継者が不在であったり、継ぐ意思がないという調査結果もございます。※日医総研ワーキングペーパー「医業継承の現状と課題」より
医師の価値観が変化しつつある今、親族間継承だけに固執せず、第三者への継承も柔軟に検討していく必要があると言えるでしょう。

また、閉院すべきか?継承を模索すべきか?迷わている先生も多くいらっしゃることと存じます。
弊社では、ご勇退時期や譲渡額の目安が分かる、継承診断サービスを無料でご提供しておりますので、併せてご活用いただけますと幸いです。