クリニック継承後に支払いがストップ!?よくあるトラブルとは

閉院にまつわる様々な課題を解決できる第三者へのクリニック継承ですが、
医師が個人間で直接交渉を進める場合や、一般企業のM&Aが本業で医療業界に精通していない仲介会社が進めた場合に、しばしば継承上のトラブルが見受けられます。

■行政手続きを正式に行えなかった医療法人の売却事例

売り手側:医療法人のA理事長
買い手側:医師B先生

高齢や体力面での不安を理由に引退を考えたA理事長は、ご自身が30年間に渡り経営してきた医療法人を継承してくれる先生を探す為、
友人の伝手でM&A仲介会社(クリニック非専門)のC社に依頼。C社が見つけてきた勤務医のB先生と会ってそのまま継承を決めました。

C社がデューデリジェンス(買収監査)を実施し、法人の評価額を決めた後に無事に話がまとまり、出資持分の譲渡及び医療法人の社員、役員の退任届と引き換えに、B先生が分割で譲渡対価を支払っていくことに決まりました。
そして、譲渡のタイミングで医療法人の役員と名称変更の手続きをしようとしたのですが、これが否認されてしまいました。

受理されなかった原因は、売り手側の理事長が医療法人を運営していた当時、毎年の事業報告書の提出と2年に1度の役員重任議事録を提出しておらず、今回の役員変更の前に、過去の分をまず提出するよう指導されてしまったことによります。
結果、医療法人の名称が変更できず、用意した届出書類などは全て作り直しとなってしまいました。

このトラブルを受け、事業計画の大幅な見直しを迫られた買い手側の先生は譲渡額の減額を求め、また譲渡の際に交わした契約内容にも、契約不適合責任などでカバーされていなかったことから、責任区分が曖昧となってしまい、泥沼化してしまいました。
売り手の元理事長も裁判を起こすまでの気力は無く、泣く泣く減額交渉に応じることになりました。

いかがでしょうか。
本事例のような継承が行えなくなるリスクは、クリニック業界の事情に精通していればデューデリジェンス(買収監査)の際に発見できるものです。
また、契約内容についても、本事例や個人間で進めた場合は詰めが甘くなり、いざトラブルが発生した際に対応が効かなくなることは少なくありません。

弊社が日本医業総研と毎月開催している「クリニックの第三者継承セミナー」では、この他にもさまざまなトラブル事例とその回避方法について詳しく解説しております。
遠方の場合でも、オンラインにてご参加いただけますので、是非ご活用ください。

■万が一継承のトラブルに巻き込まれないために

今回ご紹介したような事例は、クリニック専門の仲介業者が増えてきた昨今ではレアケースになりつつあります。
しかしながら、医院を後継者に引継ぎ、順風満帆にセカンドライフを過ごされるはずが、万が一継承時のトラブルに巻き込まれてしまったらそれどころではありません。

弊社の場合、ご相談いただきやすいよう、相談料や着手金などは不要の完全成功報酬制を取らせていただいております。もしクリニック継承についてご関心がございましたら一度お気軽にご相談をいただければ幸いです。