地方でのクリニック開業、そのメリットは?

 

クリニックを開業するにあたっての立地選定は、その後の経営状況を大きく左右します。

「主要駅から近い」「人口が増加しているエリア」「再開発が予定されている」など、立地条件の良い都市部での開業を理想とされる先生が多くいらっしゃる一方で、敢えて都市から離れた郊外の住宅地や、地方での開業を選択される方も増えてきております。

今回は、なぜ都市部以外での開業が増えてきているのか?また、地方開業の優位性と注意するべきポイントについてご紹介いたします。

■地方のメリットは、初期投資・固定費の安さと、競合の少なさ

都市部での開業人気エリアにおけるクリニック数は飽和状態に近く、実際に開業物件を見つけること自体が大変といっていい状況です。

また、駅近の好立地に物件が見つかった場合でも、テナントの賃料単価は当然高額になります。患者さんの利便性に富み、一定の集患が見込める物件であっても、院長1人が対応できる患者数は自ずと限られますし、保険診療のクリニックが健全経営を続けるために支払える賃料にも限度があります。

くわえて、都市部では看護師などの医療専門職のほか、パートスタッフの時給水準も高い傾向が続いています。
賃料も人件費も、固定経費として永続的に発生しますので、適正なバランスを保つ経営判断が重要になります。

いかなる業種であっても、経営の要諦は、売上の最大化と経費の極小化ということにほかありません。

一方で、地方では物件購入でも賃貸でも、総じて安価であり、人件費相場も都内と比較して1~2割低く抑えることができます。

そして、もう一つの優位点は、競合が少ないということです。
ご存じの通り、地方での医師不足は切実な問題であり、軽症の疾患や慢性疾患でも遠くの病院まで通わなければならない地域も存在します。
これでは、身近なかかりつけ医としての機能を果たすことはできません。
家族全員の健康を守ってくれることのニーズは、特に高齢化比率の高いエリアで高く、かつ一度定着した患者さんは離脱することが少ないことから、開業後の安定的な集患を見込むことができます。

■デメリットは、患者数の維持と、スタッフ採用

ただし、地方開業のデメリットも知っておく必要があります。

・将来的に患者数が頭打ちになる可能性
・スタッフ採用の難しさ

まず挙げられるのは、高齢化や人口流出が進行している地域では、将来的に患者数が伸びなくなる可能性があるということです。
一般的なクリニックにおける医療提供のコア層は高齢者ということになりますが、人口動態を見た際に中長期的に人口が右肩下がりになっているエリアは将来的に頭打ちになる可能性があります。
今後伸長していくかどうかは、そのエリアでどのような人口減少への克服対策が行われているか?なども含めた複合的な視点で分析していく必要があります。

また、意外と見逃しがちなのが、都市部に比べるとスタッフ採用の難易度が高いという点です。
前述のとおり、人口自体が少なく、通勤事情も都会に比べ難しい場合があり、採用範囲が近隣に限られてしまうという点がネックとなります。

こうしたメリットとデメリットを踏まえながらも、都市にせよ、郊外や地方にせよ、まず開業コンセプトを固めることが大切です。

先に地域や場所から考え始める先生も多くいらっしゃいますが、まずは「一人ひとりの患者さんの訴えに傾聴し、全人的な医療に携わりたい」「豊富な症例で経験を積み、医師人生を豊かにしたい」など、先生の想い描く医療コンセプトを固めてから、ライフプランを考慮しつつ、理想の人生プランを実現するための選択肢として、どのようなエリアで開業をするべきか?を考えていきましょう。

◆承継開業も視野に入れる

クリニックの新設だけが開業ではありません。

都市部・郊外・地方というエリアから考えるのではなく、既存の盛況しているクリニックを譲り受けてての「承継開業」も選択肢として考えておきましょう。

患者、スタッフもそのまま引き継ぎできるため、新規開業に比べて低コスト、低リスクで開業をスタートさせることが可能です。

弊社と提携し、クリニックの開業・経営をサポートさせていただく日本医業総研はグループ内に税理士法人や社労士法人を有するクリニック経営に特化したコンサルティングファームです。

また、これまでに600件近くのクリニックの開業・経営をサポートした実績から、クリニックの経営を軌道に乗せ、成功に導くノウハウを有しています。

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