クリニックの親子間継承の進め方は?

日医総研の調査結果によれば、医療機関のうち、子供を後継者として決めている割合は、クリニックでは、52.9%と約半数を占めています。

近年、第三者継承の事例が増えてきてはいますが、まだまだ親子間継承を選択される割合は多いようです。

今回は、クリニック・医院を子供や親族に継承する場合の進め方や注意すべきポイントについてご紹介していきます。

■円滑な親子間継承は事前準備がカギ

「自分のクリニックをできれば子供に引き継いでもらいたい」

このようにお考えの開業医の先生は多くいらっしゃると思いますが、
いざ引き継いでもらおうと思っても、事前にしっかりと準備をしておかなければ、
継承を円滑に進めることができず、ご破算になってしまうことも考えられます。

親子間継承で大事なのは、子供とその家族の個別のライフプランへの最大限の配慮です。

親子間での継承を進める場合には、トラブルを避けるため、
以下2点については事前にしっかり話し合っておくことをおすすめします。

①クリニックを引き継ぐ意思があるかを早めに確認

子供が医師の場合、「将来的に自分のクリニック・医院を引き継いでくれるだろう」と、楽観的に考えがちです。
しかし、弊社に第三者継承のご相談をいただく先生にも多くみられるのが、
具体的に引退を考えだしたタイミングで相談したが、断られてしまい、慌てて第三者継承を検討しだしたという先生が一定数いることです。

そのため、まだ具体的に引退を考えていなくとも、勤務医の子供に、将来家業を継ぐ意思があるかどうかは早めに確認しておくべきです。
継承の意思がなさそうだと判断される場合には、早期に第三者継承を検討も可能ですし、早めに意思を確認することで様々な選択肢を持っておくことができます。

なお、第三者継承と同様に、患者をしっかり引き継ぐという意味においても、引継ぎの重要性は親子間継承の場合でも変わりません。

ですから、院長交代までの一定期間、患者への告知の意味も含め一緒に診察室に入ることを検討しましょう。
長年診ている患者のなかには、カルテに記載されていない患者固有のコンテクストがありますし、
クリニックの理念や現状、経営状態など、経営者になるにあたり、必要な情報を共有しておくことで、引継ぎがスムーズに進みます。

②相続税対策をあらかじめ税理士に相談する

親子間継承の場合、相続に関する対策を事前にしておくことが重要となります。

専門的な知識が必要となるため、相続対策に実績をもつ税理士や医院継承に詳しい専門家に依頼するなどして、必要な対策を進めます。

例えば、院長所有の不動産(土地・建物)、医療設備等の財産を洗い出し、整理します。

その上で、税理士等と相談しながら、生前贈与や売却・賃貸借・使用貸借など、
税務的な観点から優位な方法で子どもに引き継いでおくなど、円滑に継承できるように準備しましょう。

また、建物や医療機器も、経年劣化している場合があります。

建物の修繕や医療機器の刷新なども、相続の観点から見て引継ぎ前に行うのか、それとも引継ぎ後に行うのか、専門家の意見を伺いながら進めていきましょう。

■税務面等、専門的なご相談も承ります

いかがでしたでしょうか?
今回は、親子間継承を考える場合まず最初にやっておきたい2点を基本的な内容としてご紹介しました。
弊社にご相談いただく先生の中には、子供に継いでもらうべきか第三者継承を検討すべきかお悩みになっている方もいらっしゃいます。

ご相談をいただきお話を伺っていく中で、どのように進めていくのが一番良いのか、考えが整理されていく場合も往々にしてございます。
ご相談は無料で承っておりますので、お気軽にご相談をいただければ幸いです。