クリニックの承継開業、一体どんなメリットがあるの?
今回のテーマは、「クリニックの承継開業、一体どんなメリットがあるの?」です。
開業を目指されるきっかけは「自分の裁量で自由に仕事がしたい」、「勤務医ではできない独自の診療スタイルを実現したい」、「医療を通じて生まれ育った地域に貢献したい」、「家族とともに過ごすプライベートな時間を大事にしたい」など、先生によって様々だと思います。
今回は改めて新規開業と承継開業の違いやそれぞれのメリットについて整理していきます。
◆新規開業の魅力と課題
まず、一般的にイメージされやすいのは「新規開業」ではないでしょうか。
建物、設備、職員などすべてが新しく、一から開業をスタートするので“心機一転”し、 フレッシュな環境で始められる新規開業ですが、集患の面では不安があります。
開業して間もなくは一日に20~30名程の来院があり「このペースなら安泰だ!」と安心したものの、その多くが所謂“ご祝儀” の患者様であったため、徐々に来院数は下がり、日に5~10名ほどに落ち着いてしまった…ということは珍しくありません。
診療科や施設・設備によって異なりますが、開業にかかる初期費用や、家賃、人件費、光熱費、リース料…などの運転資金を勘案すると、1日あたりコンスタントに30人以上の集患ができなければ黒字経営は望めません。
新規開業は、「ご自身で全て決定し、一からスタートする」=「自分の理想の城を築くことができる」のが魅力ではありますが、上記のように集患の面では大きな課題があるのが実情です。
◆新規開業と承継開業の比較
では、ここからは「職員の採用」「集患」「設備」の3つの観点について、新規開業と承継開業を比較し、それぞれのメリット・デメリットをみていきましょう。
<職員の採用>
新規開業の場合は、「職員の採用」を一からご自身で行う必要があります。
採用活動の負担はありますが、雇用条件や自分との相性などを含め、より理想と近い人材を選ぶことができるのは新規開業のメリットです。
一方で承継開業の場合は、前クリニックに勤めておられた職員の方を引き継ぐことが基本です。
「採用活動を行わなくてもよい」、「業務に慣れている」、「患者様と面識がある」などのメリットはございますが、長く勤めておられる職員の方の給与水準の高さや考え方が合わない、電子カルテの操作経験がないなど課題も想定されます。
<集患>
前述のとおり、開業における大きな課題が「集患」です。
新規開業の場合は、ホームページや広告などを活用し、徐々に認知度を高めていく、ゼロからの地道な努力が必要です。
加えて、「競合の有無」「通院の利便性」などの“立地条件”が重要なポイントとなります。
より良い立地条件の物件を見つけるのに1~2年近く時間をかけることはざらにあります。
承継開業の場合は、前クリニックから患者様をそのまま引き継ぐことができ、開業初日からある程度の集患が見込めるので、初月から一定の収益が期待できます。
さらに、患者様側からすると継続して通院が可能なので、かかりつけ医を失わずに済みます。
承継開業の場合、診療圏内の競合医院がある中でその患者数を確保しているため、競合の存在をそこまで気にしなくてもよいこともメリットです。
(ご参考):>かかりつけ医を引き継げる、承継開業のメリット
<設備>
新規開業の場合、医療機器などは、メーカー、機能、スペックなどをご自身で選定することが可能です。
これらの購入費用やリース費用は、大抵の場合は金融機関からの融資を受けることになります。
選択の自由がある反面、コスト面では高額になるところが懸念点ではないでしょうか。
(ご参考):>開業準備。医療機器はリースにすべき?購入すべき?
承継開業の場合、こういった設備は前クリニックから引継ぐことで、導入費用を考えなくてもいいのがメリットです。
ただし、既に何十年も使用しているケースが大半で、承継後数年以内には買い替えが必要となります。
新規開業と異なるのは、この買替え費用は、既に利益が出ているところから支払いができるため「借入金」の負担感は大幅に軽減されるという違いがあります。
◆新規開業と承継開業は平行して検討するのが吉
いかがでしたでしょうか?
新規開業と承継開業では考慮すべきポイントが大きく異なります。
また、どちらの場合でも、テナント物件の空き状況、開業ビジョンに合う承継案件と出会えるかどうか、が開業を成功に導くうえで重要となります。
ご自身の優先順位を明確にしたうえで、新規開業と承継開業を平行して検討するのがよいと言えるでしょう。
弊社では、これまでに600件以上のクリニックの開業・経営をサポートしてきており、クリニックの経営を軌道に乗せ、成功に導くノウハウを有しています。
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