クリニックの開業ってどれくらいの期間がかかるの?

今回は、「クリニックの開業ってどれくらいの期間がかかるの?」と題しまして、クリニック開業のスケジュールについて順を追って解説してまいります。

◆クリニック開業は1カ月休まないとできない?

先生の周りでクリニックの新規開業をされた先生の話を聞くと、大学や病院を辞めてから1カ月ほど休みをとり、それから開業しているというケースが多いのではないでしょうか?

実際に、クリニック開業をご検討されている先生から弊社にご相談いただく中でも「開業するためには1カ月休まないと許可が下りないのですか?」という質問をよく聞くのですが、実際のところ理由は他にあります。

1カ月の休みを取るその理由は、「開設届が受理された後、所轄の厚生局に保険医療機関指定申請を出してから1カ月弱後にならないと保険診療の許可が下りないから」です。

医師免許があれば、開設届が受理されれば即日診療行為が可能です。
しかし、実際は保険診療が行えないので、美容系など自費診療をメインに行うクリニック以外は、実質「診察できない」に等しいというわけです。

ですので、おおまかな流れとしては、開院の2カ月前から内装工事に入り、1カ月前に各種届出を出し、そこから採用したスタッフの研修などを行うなど、保険診療が可能となる日から逆算して計画的に開院準備を進めるというのがパターンのようです。

◆クリニック開業のスケジュール

一例として4月1日を目途にクリニックの新規開業を考えた場合の全体のスケジュールを見ていきましょう。

イメージ

4月1日の開院から逆算すると、内覧会は開院直前の土曜・日曜、新聞広告は3月第3週目、さらに遡り、内装工事開始は1月には始めているとして、テナントの賃貸契約はその3カ月前、つまり10月くらいに行うのが一般的です。
賃貸条件によっては、半年分の空家賃を支払うこともあります。

内装工事の前には、数カ月かけて設計者との細やかな詰めがありますし、施工業者も慎重な選定が必要です。
さらには、医療機器・診療材料等の選定と購買業者、ロッカーや椅子などの什器・備品の手配、ホームページの開設や開業告知広告など新規開業では、開院に向けて準備しなくてはいけないことが山積みです。

◆「承継開業」では、開業期間を短縮できるかも!?

一方で昨今注目を集めている「承継開業」という開業方法では、施設や設備などを丸ごと引き継ぐことができます。

また、前半で述べたような保険診療ができるようになるまでの待機期間を「遡及手続き」という特例により、前院長からの切れ目のない保険診療を行うことが可能です。

さらには、継承するクリニックに通っていらっしゃる患者様も引き継ぐことができるので、新規開業後の大きな不安となる「集患」についても初月からの安定も見込めます。

これらのメリットを考えると、クリニック開業をお考えになられる際には、「新規開業」と合わせて、前院長が築き上げてこられた地域医療を引き継ぐことができる「承継開業」という選択肢も是非ご検討いただければ幸いです。