閉院を告知した後でも、第三者継承は可能?

 

昨今、少子高齢化が進み「後継者問題」は社会全体の課題となっています。
特に「家業」としてビジネスを営んできた中小企業などは、後継者不在のために廃業を余儀なくされるケースが多く、クリニックなどの医療業界も例外ではありません。

今回は、患者様やスタッフに既に閉院を告知してしまった後でも第三者継承は可能なのか?について解説してまいります。

■閉院を告知してしまった後でも後継者探しは可能なのか?

ご自身の年齢や体調・体力面での不安から引退をお考えになられる開業医の先生の中には、「既に閉院することを決め、スタッフや患者さんなど周りに話してしまった」という方もいらっしゃることでしょう。

実は、既に閉院を告知してしまった場合であっても、後継者探しを行うことは可能です。
また、院長先生が急な体調不良により急遽入院することになった場合なども同様で、急いでクリニックの後継者を探す必要があります。
このようなケースにおいては、『急募』という扱いで後継者募集を行うことがあります。
前述のようなケース以外でも、徐々に診療日数を減らしていたり、診療時間を短くして診療を続けており、患者数が減少傾向にある場合も、この『急募』での募集は有効な手段です。

■急募で募集を行うメリット

次に、『急募』で後継者探しを行うメリットについて見ていきましょう。
『急募』として募集がかけられた承継案件に対するレスポンスは通常の募集よりも早いことが多く、内容にもよりますが1週間も経たずにお問い合わせが入ることもございます。

では、クリニックを引き継ぎたいとお問い合わせをいただく先生方は、一体『急募』案件のどのような所に魅力を感じておられるのでしょうか。
ずばりその魅力は、「譲渡価格が割安に設定されている」ことです。
『急募』での募集は、“急いで探さなければならない”という都合上、譲渡価格を平均よりも大幅に引き下げて設定します。
なかには「無償譲渡」として後継者を募集することも珍しくありません。
開業をご検討されている先生の殆どは、新規開業と承継開業を並行して準備を進めておられます。
一般的な内科での新規開業の場合、運転資金を含めて7,000万円程度の資金が必要とされており、経済的に大きな負担となるでしょう。
そういった意味でも『急募』の承継案件は、費用面で比較した際に非常に魅力的に映ると考えられます。

■閉院ではなく第三者継承を選ぶメリット

一見、院長先生にとっては満足のいく譲渡対価を得ることが期待しにくい『急募』での後継者探しですが、閉院コストを削減できるというメリットもあります。
閉院する際には、テナント開業の場合、原状回復工事費や医療機器・設備等の処分など、大きな出費が伴います。
仮に自己所有物件の場合でも、クリニックで使用していた不動産を他の用途に転用するというのは中々難しく、固定資産税等の維持コストは継続してかかります。

一方でクリニックの第三者継承では、このような閉院に伴う費用は必要ありません。
他にも、患者さんやスタッフを後継者の先生に引き継ぐことができるので、閉院の際に必要となる近隣の病院への患者さんの紹介やカルテの保管、スタッフへの退職金の支払いなどの負担も削減できます。

■クリニックの閉院や継承に関するご相談を承っております

いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介したように閉院を告知してしまった後でも、後継者探しは可能です。
ですが、よりよいハッピーリタイアメントを実現するためにも、将来の引退について考え始めたタイミングでまずは一度、今後についての先生のご意向をお聞かせいただければ幸いです。

弊社では、グループ内に税理士法人や社労士法人を有するクリニック経営に特化したコンサルティングファームとも協力し、クリニック継承や閉院に関するサポートを行っております。
クリニックの運営や引退(閉院準備、第三者継承、親子間継承など)に際してのお悩み事などがございましたら、是非一度お気軽にお問い合わせください。