踏襲するのは地域から愛されること
37年間にわたり地域医療を支えてきた「秦野北クリニック」は、2023年春、駒井好信先生に事業継承された。後編では両先生に、今回の第三者継承についての所感を伺った。
――院長交代に向けた約1カ月間の引継ぎ期間で、患者さんに戸惑いなどはありませんでしたか。
(内藤先生)最初、駒井先生には専門の泌尿器とエコーの検査は全てお任せしたので、一部の患者さんからは、「泌尿器専門……?」という声もありましたが、駒井先生はあくまでも全身を評価した上での泌尿器のスペシャリストだから大丈夫、と説明すると皆さん納得されていました。
――クリニックではエコーが大きな武器となりますね。
(駒井先生)23年も泌尿器を診てくると、エコーは私の手足同様、身体の一部になっています。今日も脂肪肝の患者さんを診ましたが、肝臓も膵臓もすべてエコーを当ててきましたので、消化器系を中心に守備範囲は広いと思っています。
――引き継ぎ期間中に内藤先生の診療をご覧になり、病院外来とは違う学びはありましたか。
何といっても診療のスピードです。短時間の診察でも、伝えるべきことは全て話をされていますから、患者さんは時間的なストレスを感じることなく、十分に納得されていると感じられました。病院では外来を受け付けて即CT検査に回すようなケースが見られましたが、患者さんはまずご自身の不安を医師に聞いてほしくて来院されます。私は丁寧な会話を心がけてきたつもりですが、クリニックの運営効率を高めながらの十分な説明は内藤先生を範として見習わなければいけませんね。
―――内藤先生の診療スタイルから何を踏襲し、どこに駒井先生の個性を発揮しようとお考えですか。
クリニック名を変えるつもりはありませんでしたが、この4日間一人でやってみて、いかに秦野北クリニックと内藤先生が地域から愛されてきたかを実感しました。皆さん診察室に入られて開口一番「内藤先生は……」とおっしゃるんです。良質なプライマリケアを提供することで地域から愛され、頼られる部分はぜひとも踏襲していきたいと思います。そこで経営地盤を盤石なものとし、私の強みである泌尿器科を打ち出していきたいと考えています。
―――両先生にお伺いします。事業承継をサポートさせていただいたメディカルトリビューンと日本医業総研の提供サービスについて、忌憚のないご意見をお聞かせください。