クリニック継承、遺言と信託の違いって?

 

昨今、少子高齢化が進み「後継者問題」は社会問題にまで発展しています。
特に「家業」としてビジネスを営んできた中小企業などは、後継者不在のために廃業を余儀なくされるケースが多く、医療業界も例外ではありません。

それとともに、クリニックを第三者に引き継ぐことができる「第三者継承」の認知度が高まりつつあります。

今回は、クリニック継承などの事業継承の際によく耳にする“遺言と信託”それぞれの違いについて解説してまいります。

◆遺言と信託、何が違う?

事業継承に際してよく聞く「遺言」と「信託」。
まずは、この二つの違いについて簡単に解説致します。

「遺言」では、株式の取得者を指名することはできますが、株式の議決権を実行する者と配当を受け取る者を分離することはできません。
遺言はあくまでも被相続人の希望であり、法的な強制力はなく、確実に遺言通りに実行されるとは限りません。
遺言書の形式によっては無効とされてしまうケースもあり、度々遺言書に関する裁判などを耳にします。

一方で「信託」は、信託の設定行為が適正に行われていれば、財産は委託者固有の財産ではなく、信託財産という扱いになるため、確実に信託契約の内容に沿って管理・運用されることになります。

◆医療法人のクリニックの「信託」のケース

医療法人のクリニックでは、信託の対象と考えられるのは経過措置型医療法人の出資持分があたると考えられます。
経過措置型医療法人の出資持分には「出資持分払戻請求権」と「残余財産分配請求権」という二つの財産権がありますが、これらには議決権がありません。
ですので、信託できたとしても医療法人の支配権には一切関係がありません。
よって、出資持分を信託した場合でも、医療法人の支配権のを維持することはできませんが、「出資持分払戻請求権」と「残余財産分配請求権」を管理することは可能と考えられます。

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