管理職のモチベーションUPに有効な役職手当の設定って?
クリニックの経営者である開業医の先生方にとって、クリニックで共に働くスタッフのモチベーション維持や向上、給与や昇給等についてお悩みになられることは多いのではないでしょうか。
今回は、「管理職のモチベーションUPに有効な役職手当の設定って?」と題しまして、管理職スタッフのモチベーション向上につながる役職手当の有効な設定方法や運用について解説してまいります。
◆古株だから管理職に抜擢はNG!?
クリニックでは、開業当初から20年近く共に働いているというスタッフの存在も珍しくありません。
スタッフの中から管理職やリーダーを決める際、最も年長者を抜擢するケースは多くの医療機関や福祉施設において見受けられる光景ではあります。
しかし、経営者の立場からすると期待を込めての抜擢だったとしても肝心の本人からしてみると必ずしも管理職への抜擢がプラスになるとは限りません。
自分が古株だからという理由でリーダーや管理職に指名されても正直戸惑ってしまうでしょう。
また、管理職になった途端に院長からの指示が急に増えてしまうことで「やってられない…」と、退職してしまったというお話も耳にします。
◆管理職の役割を明確に
まずは、院長と管理職スタッフとの認識のギャップを生まないためにも、管理職の役割を明確にしておくことが重要です。
面談の機会を設け、できるだけ具体的に分かり易く管理職に求めること・期待することを説明するのが良いでしょう。
例えば、患者さんの満足度を高めるために診療の待ち時間には積極的に声をかけ、事務スタッフなどと連携しつつリーダーシップを発揮してもらうなどの「患者さんの視点」や、残業の人数を最小限に指示する役目などの「経営面の視点」、さらには「部下育成の視点」といった様々な角度から期待している管理職像について伝えると、理解も深まり経営へも良い影響が期待できるのではないでしょうか。
◆役職手当の考え方
また、管理職のスタッフに支給する役職手当についても柔軟性をもって考えるのが良いでしょう。
多くの医療機関では、役職に応じて「毎月○○円」といったように定額で手当を支給しているところが多いのではないでしょうか。
しかし、就任1年目と5年目の役職手当が同じ金額で良いのか?という点はしっかりと考慮すべきです。
管理職としての経歴が長く成れば、自然と知識やノウハウも蓄積され、管理職としての経験値も高まるものです。
そこで以下のような手当の設定と運用例をご紹介します。
▶レベルに応じて以下の手当を支給します
レベルⅠ:●●円
■期待すること
・患者さんの満足度向上のため、他スタッフとの連携・指示
・無駄なコストを減らすため、経費削減の意識を他スタッフにも共有
・スタッフとの密なコミュニケーション
レベルII:●●円
■期待すること
・レベルIの全事項の達成
・特定の派閥に入らず、スタッフ間の調整役
・患者さんからのクレームの一時対応
・患者さん満足度を上げるための施策などの提案
レベルIII:●●円
■期待すること
・レベルI・IIの全事項の達成
・スタッフの悩みや言いにくいことなどを院長の代わりに聞く相談役
・スタッフの業務状況や残業時間などの管理
◆管理職としての意識をもってもらうために
上記のようなレベル別での役職手当の支給ルールに加え、管理職としての自覚を持ってもらうためには毎月打ち合わせなどを実施し、クリニックの中の人件費がどれくらいかかっているのかっといった管理職としての業務に関係の深い「経営数値」を共有するのも良いでしょう。
そういった数値の共有により、スタッフが残業することで人件費率がどのくらい上昇するのか、人件費率を下げるためには患者さんを増やすことが必要であるという意識をもってもらうこともできます。
◆クリニック運営や継承・閉院等についてのご相談を承っております
いかがでしたでしょうか。
今後はクリニック等の医療業界においても人材難の時代が続くと言われており、採用や離職防止対策に頭を抱えておられる開業医・経営者の先生も少なくないでしょう。
今回の記事でご紹介した管理職スタッフへの役職手当の考え方については、ほんの一例ではございますが是非参考にして頂ければ幸いです。
弊社では、グループ内に税理士法人や社労士法人を有するクリニック経営に特化したコンサルティングファームである日本医業総研と協業し、クリニックの運営や継承、閉院などのサポートを行っております。
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