電子カルテ未導入はクリニック継承に影響する?


クリニックの承継開業をお考えの先生から相談を受ける際に、受ける質問の中でも多いのが、その案件に電子カルテが導入されているかどうか?という質問です。

実際、ご支援させていただいたクリニックのうちのほとんどは未導入の状態でした。しかしながら、成約まで至った案件や詳しく内容を見てみたいという買い手の先生からの声は変わらずあります。つまり、タイトルに対する答は、「クリニックの継承において電子カルテの有無は関係ない」ということになります。

■そもそも電子カルテの普及率は4割と高くない

少し古いデータにはなりますが、厚生労働省が2017年に行った調査(※1)によると、電子カルテの普及率は41.6%と報告されています。
つまり、全国でおよそ6割近くのクリニックが紙カルテを使用しているということになります。

もちろん、この普及率は全国一律に見た場合のもので、
ここ数年で新規開業したクリニックでの導入はほぼ100%に近い割合です。
開業してから年月が経っているクリニックでは導入に至らず、
それらの平均値が約4割という数字に表れているということです。

電子カルテ未導入というのは買い手側からみるとネックの一つではあるものの、そもそも、承継開業を選ばれる一番のメリットは「患者を引き継げる」点にありますから、電子カルテの有無は検討候補から外す要因にはなりえないのです。

■継承後に継続勤務する場合は注意が必要

ただし一つだけ注意しておきたいポイントがあります。前々回でお伝えした「継承後に継続勤務するメリットは?」でもご紹介したとおり、医院を承継した新院長が、前院長の継続勤務を望まれる場合があります。

前述のとおり、買い手の先生は電子カルテを新規導入するケースがほとんどのため、承継後に働く場合、前院長にも電子カルテを使っていただくことになります。

前院長にとっては長年の業務フローを変えることになりますから、電子カルテの使用に抵抗を感じ、買い手側の医師にも業務・運営に支障をきたす、といったケースも考えられます。

クリニック継承を考える際は、こういった細かな点も併せて検討し、お互いにフォローしあう関係づくりをしておくことも重要です。

■ご勇退・継承の準備は専門家へのご相談を

弊社と提携し、クリニック継承をサポートさせていただく日本医業総研はグループ内に税理士法人や社労士法人を有するクリニック経営に特化したコンサルティングファームです。

また、これまでに550件以上のクリニックをサポートした経験から、クリニック継承において利益相反関係となる売り手と買い手の間に立ち、双方の希望を叶えるためのノウハウを有しています。